50代以降は「2人に1人はがんになる」と言われる昨今、自身の末期がん闘病生活をリアルタイムで配信する患者が増えている。がんだけでも肉体的苦痛が大きいはずなのに、なぜわざわざ動画配信というさらに大きな負担を選ぶのだろうか?
患者に「動画の発信を勧める」理由
写真はイメージです
「がん防災」という概念を推奨し、自身もがん患者とコラボして積極的に動画を配信している押川勝太郎医師は、次のように話す。
「がんの原因の半分以上が加齢と、予測不明のものです。さらに50代以降に急増し、最終的に二人に一人ががんになるということは、交通事故より確率が高い。なのに、正しい情報が伝わっていない。そのため、間違っていれば私が修正できるということもあり、患者さんには動画の発信を勧めています」
患者が配信するメリットは?
患者が配信するメリットとは。
「がん患者は社会から孤立しがちであり、将来の予定が全て狂い、人生を悲観し、何もかも嫌になってしまうものです。その中でもSNS、特にYouTubeは自分の世界を再拡張できる数少ないチャンスだと気づけた患者が取り組んでいるのだと思います。
また、末期患者はがん症状に加え、入院中の孤独に襲われます。社会から離れてしまい、希望は何もないというどん詰まりの状況でスマホ一つあれば動画を収録できますから、その間だけでも病気のことを忘れ癒やされることができます」
特に、情報の少ない希少がん患者にとっても励みになる。
「多数派向けの情報を発信するテレビとは違い、少数派にもリーチすることができる。そうやって注目を集めることによりコミュニティを作り上げ、応援されたり支え合ったりといったことが全てできるようになります」
また、同じ患者にとって、動画は予後や治療以外の様子についても知ることができるため、有益な情報になりうるという。
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