猫は泌尿器の病気が多い動物ですが、慢性腎臓病もその一つ。加齢とともに増加し、高齢猫の死因の上位を占めます。治ることのない進行性の病気ですが、適切なケアによって長く機能させることも可能です。そこで、慢性腎臓病の管理に重要な食事療法とデイリーケアについて取り上げました。

気づいたときには、腎機能の3分の2が失われている。

腎臓は余力をもつ臓器で、その組織が壊れても、かなり悪化するまでは症状が現れないのが特徴です。
動物病院で血液検査を行っても、初期段階では異常値は見られません。最初に目に見える症状として現れるのが多飲多尿。愛猫がたくさん水を飲み、薄くてニオイのない多量のオシッコをすることで気づく飼い主さんが多いようです。そのときには、すでに腎機能の3分の2が失われています。

高齢猫にしのび寄る慢性腎臓病ってどんな病気?
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)

その後、病気が進行するにつれて、食欲不振や嘔吐などの症状が出るようになります。いったん失われた腎機能は、回復させることはできません。できるだけ早期に発見し、適切な治療とデイリーケアにより腎臓への負担を減らすことが重要です。
その際、重要な役割を果たすのが、食事療法です。

高齢猫にしのび寄る慢性腎臓病ってどんな病気?
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)

愛猫にこんな症状が見られたら要注意!日頃からチェックしましょう。

食事療法は、3つの栄養素制限がポイント

腎臓に負担をかける栄養素は、タンパク質、リン、ナトリウム。しかし猫にとって、必要不可欠な栄養素でもあります。腎臓の負担を減らしつつ、必要量は摂取できるように設計された療法食を与え、療法食以外のフードやおやつをあげないことも重要です。

タンパク質

食事で摂取したタンパク質は、肝臓で分解・代謝されて尿素がつくられます。通常、尿素は腎臓でろ過され排出されますが、腎機能が低下すると排泄できず体内に蓄積され、尿毒症を引き起こします。尿素はタンパク質由来なので、必要最小限に摂取量を制限することが大切です。

リン

不要なリンが排出できず、血中のリン濃度が増えると、様々な臓器に障害をもたらしかねません。食事でのリン制限とともに、リンを吸着して便と一緒に排泄する「リン吸着剤」を併用することもあります。

ナトリウム

腎臓の働きが悪くなると、ナトリウムをうまく排出できなくなり、体内の水分量を調節できず高血圧を引き起こすことも。塩分の調整も、腎臓への負担を減らす重要なポイントです。

高齢猫にしのび寄る慢性腎臓病ってどんな病気?
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)