配偶者特別控除枠内で、アルバイト・パートタイムで働く場合の労働時間

最低賃金から平均的な時給程度、例えば、1日6時間、週5日勤務しても、年間合計所得に対して最低税率5%の所得税しか課税されない。地方税や社会保険料にも大きな差は出ない。

夫の年間合計所得が1,000万円を超えていれば、2017年以前から配偶者特別控除の対象ではなかったため、妻が勤務時間を調整する必要はないと考えてよいだろう。

夫の年間合計所得が1,000万円以下であると、二重構造の段階別控除になり配偶者特別控除額が2017年分より減額される場合もあるため、その影響はゼロではない。上の2例を見ても、控除額には27万円の開きがある。夫の年間合計所得が1,000万円で、妻の年間合計所得が123万円、つまり給与所得控除を加えた年間給与収入が201万円になると控除額は1万円で、その差は37万円となる。

控除の範囲内で収入をあげるにはどうすればいい?

アルバイトやパートタイムで働く場合、上述2例以上の年収を得ようとすると、1日1時間ずつ勤務時間を増やして年間およそ250時間、時給960円で年間24万円、時給1,100円で27万5,000円の増収になる。時給1,100円の場合でも、配偶者特別控除の対象となる年間給与収入の上限201万円に届くかどうかの水準である。

時給1,100円のまま、1日3時間ずつ勤務時間を増やしてみると、配偶者特別控除の対象から外れはするものの、年間給与収入として237万6,000円程度を確保することはできる。

つまり、1日に数時間勤務時間を増やしたところで、この層は控除額が最低ラインの1万円であるため、配偶者特別控除枠から外れても、それほど大きな影響を受けることがないかわりに、年収が劇的に増えることもない。

ここで取り上げた2例は、配偶者特別控除対象となる層のうち、控除額の上限38万円と下限1万円となり得る世帯であった。2例には確かに控除額の上では大きな開きはあるが、まったく別の世帯の家計のことなので、両者を比較すること自体には意味がない。

妻の時給が960円の世帯、妻の時給が1,100円の世帯、それぞれ別々に見ても、もともと住民税や社会保険料などが妻の給与から天引きされているので、少々の勤務時間の調整をすることによる大きな影響は見られないかもしれない。

結論として、勤務時間の調整のため念入りな計算を繰り返すより、無理のない範囲で1時間、2時間と労働時間を増やして家計の足しにすることをためらう必要はないと考える。

控除の枠を大きく超える場合の計算は念入りに

配偶者特別控除として上限額38万円が控除される世帯では、翌年以降の配偶者の働き方を大きく見直す必要はないかもしれない。

しかし、配偶者特別控除額1万円の対象世帯では、翌年以降の大幅な働き方の見直しは、控除額や各種手当の計算など、慎重にシミュレーションしたほうがよいだろう。

日勤より時給が高い早朝や夜勤、休日シフトを定期的に入れたり、時給の大幅アップがあったりすると、その影響は少なくない。所得金額195万円超330万円以下の税率は10%で、9万7,500円の控除はあるものの、税額は9万4,500円にも上る。

しかし、課税される所得金額が195万円超330万円以下とは、38万円の基礎控除と最低額65万円以上の給与所得控除を考慮すると、約300万円以上の年間給与収入がなければならず、賞与等が支給されないアルバイトやパートタイムでの就労で実現できる所得金額ではないだろう。

配偶者特別控除対象者に「働き損」はない?

2018年分から配偶者特別控除が見直されるのを受けて、配偶者特別控除や各種手当て、税額の計算に多くの時間と労力を費やしている人もいるかもしれない。それに対して得られる控除額や利益幅は決して大きいとはいえない。

前述のシミュレーションから分かるように、配偶者特別控除の対象となる層の人にとっては、正社員になるなど待遇面で大きな変化がない限りは、目先の利益を確保するために勤務時間調整の計算に明け暮れるより思うまま働いてもいいと言えそうだ。

文・ZUU online編集部/ZUU online

【こちらの記事もおすすめ】
知ってた?百貨店「友の会」のボーナスには税金が…
3月が権利確定日!女性にうれしいスパ&エステ優待4選
「冷蔵庫に入らない!」ふるさと納税の失敗を防ぐ3つのステップ
3月が権利確定日!女性にうれしいスパ&エステ優待4選
花粉症対策グッズは「OTCスイッチ医療品」になるの?