海外の映画やテレビと比べたり、海外から帰国して気づくのが日本女性の声の高さ。日本女性の声はなぜ高いのだろうとずっと不思議に思っていたのですが、音楽ジャーナリスト・声の研究家である山崎広子さんの著書『心を動かす「声」になる』と『声のサイエンス』を読み、その答えを見つけました。
写真はイメージです。(以下同じ)
驚くべきことに、日本女性の声の高さはジェンダーギャップや経済にも関係があるとか。今回、山崎広子さんに前編・後編にわたって詳しくお話を聞きました。
(※山崎広子さんの崎は立つ崎(たつさき)が正式表記です)
失声症が原因で声の研究を始めた
――山崎さんが声の研究を始めたのは何がきっかけだったのですか?
山崎広子さん(以下、山崎)「私自身が中学に入学してまもなく失声症になったことがきっかけです。実は親にも言えなくてひとりで随分悩んでいたんです。いくつもの病院に行っても治らず、大学に入ってからはヴォイストレーナーについたり、色々な大学を回って先生方に訊いたりしたのですが、声のことをきちんと教えられる大人を見つけることができませんでした。そこで、『これは自分で解明していくしかない』と決心し、自分で調べていくようになりました」
“自分の声”を持っていないことに気づく
――中高から大学へ進むなかで失声症はどうなったのでしょうか?
山崎「突然声が出なくなるという症状は大学生になっても断続的に繰り返していました。私は小さな頃から1日のうちに5~6時間もピアノの練習をする日々を送ってきて、自由に遊ぶということがほとんどなかったんです。それが知らず知らずのうちにストレスになっていたのかもしれないと思いました。ただ、声の研究を進めていくなかで、もうひとつ気づいたことがありました。私は“自分の声”をもともと持っていなかったんです」
【こちらの記事も読まれています】