近年になり社会問題化している「生理の貧困」を打破すべく、様々な事情で生理用品を購入できない女性たちへの支援をしている、一般社団法人JOY。代表理事のささきさんは生理用品マイスターとして、「生理用品無料配布プロジェクト」を立ち上げました。

「娘の生理用品が買えない」悩む父親も。知られていない“生理の問題”
(画像=『女子SPA!』より引用)

写真はイメージです(以下同じ)

前回のインタビューでは、支援を始めたきっかけや活動の現状についてを聞きましたが、どうやらささきさんの支援は単に生理用品を配るだけのものではないようです。

【前回記事】⇒ナプキン買えない子を助けたいのに…無料配布に反対する人の“ガッカリな理由”

生理用品のイメージが「昔のまま」な女性たちも

――「生理用品無料配布プロジェクト」を行う上で、最も難しさを感じる部分は?

ささき「同じ女性たちでも、生理について知識のアップデートがされていないことですね。

特に学校では保健室の先生である養護教諭が最も生理の問題に身近な存在だと思うのですが、それでも真剣に向き合えているとは言えないのが現状です。特に今は長い年月お勤めしている養護教諭も多く、すでに生理があがっていて生理用品を目にする機会すらない方もいるくらいです。そういう方たちは、生理用品へのイメージが昔のまま止まってしまっているんですよ」

――現在の生理用品の多種多様さを知らないのですね。

ささき「そうなんです。『みんな同じでいいよね』は、これから長きに渡って生理を経験する子どもたちに言うべき言葉ではないですよ。何しろ、初潮が来た時に学校で渡される初めてセットでも、ナプキンは20.5cmサイズの一番小さなものしかないんです。『これでいいでしょ』の感覚で選んでるから。せめて昼用・夜用の二種類は用意して欲しいところなんですが」

「娘の生理用品が買えない」悩む父親も。知られていない“生理の問題”
(画像=『女子SPA!』より引用)

――ネットで調べたり、ドラッグストアに足を運んでみたりすれば、気付きそうなものですけど。

ささき「いろいろあることを知らないからこそ、調べないんです。私たちが持って行った時に初めて『今はこういうのがあるんですね』って気付かれることもありますよ。

もちろんこれは、先生たちだけではなく親御さんも一緒だったりするんです。今の若い子どもたちの親はまだ理解を示してくれますが、特に私たち世代である30~40代の女性たちの親は難しい。今は共働き家庭も多く、祖父母に育てられている子どもも増えているのでその世代にも理解を得たいのですが、ナプキンやサニタリーショーツが進化してることを全く知らない。見せてみると『何これ』みたいな反応をします」

フェムテックという言葉だけが先行している?

――最近では吸水ショーツも増えてきていますけど、それも知らない人は多そうですね。

ささき「吸水ショーツについては、適正ではない使い方が広まっているのが問題ですね。それを買えばナプキンなんていらないと思ってる人も多いんです。吸水ショーツはナプキンと併用して使うものなのですが……。このあたりは何だか、フェムテックという言葉だけが先行しているような感じ。あまり良くない傾向だと思います。とにかく、色んなものを使ってみて自分に合うものを選べるようになるのが大事です」

――ささきさんも生理用品のアップデートというか、常に選択肢を拡げるように新しいものを試したりしているのですか?

ささき「はい。以前はナプキンは厚いものが好きでそういうものばっかり使っていたんですが、ある時に薄いものを使ってみたら全然漏れないし蒸れなくて、これはもっと知っておくべきだなと。ショーツタイプのナプキンなんて、もっと早くに知りたかったですよ。私は出産後の悪露(おろ)が酷かったので、その時に知っていたらラクだったのにって思いました」出産後に起こる子宮内膜や分泌物などの排出。はじめは生理より量が多く、産後すぐから1ヶ月前後まで続く。

――産褥(さんじょく)パッドは使わなかったのですか?

ささき「あれ、ズレたりするんですよ。出産前の入院の時に『サニタリーショーツを持ってきて』って言われたんですけど、ショーツタイプのナプキンさえあれば、それも要らないじゃないですか」