乳がんや子宮がんなど、女性特有の病気に備えるために女性保険への加入を検討している人は多いのではないでしょうか。とはいえ、医療保険との違いやそのメリットまで把握するのは難しいかもしれません。そこで本記事では、女性保険の特徴やメリット、注意すべきポイントを詳しく解説します。
そもそも女性保険ってどんな保険?
まず「女性保険とはどんな保険なのか?」について、おさらいしておきましょう。
基本的には医療保険と同じ
女性保険は医療保険をベースに設計されているため、一般的な医療保険と基本的な保障内容は同じです。病気やケガによる入院や通院、手術などに備えるものです。高額な医療費を補てんしたり、働けない期間の収入減少をカバーしたりする役割も果たします。
女性特有の疾病の場合に給付金が上乗せされる
女性保険は、一般的な医療保険による保障に加えて、女性特有の病気で入院したり手術を受けたりした際の保障が手厚く、給付金が上乗せされるのが特徴です。たとえば、病気やケガで入院すると日額1万円を保障する医療保険の場合、子宮がんや乳がんなどの女性特有の病気で入院すると日額1万5,000円が支給されるというように、給付金が上乗せされます。
乳房再建術を受けたときの保障も
乳がんの手術で失った乳房を再建するための手術を受けると、一定の保障が受けられる女性保険もあります。保障内容は保険会社によって異なりますが、1回の手術につき50万円が支給されたり、一般的な手術給付金の20倍が支給されたりします。
乳房再建術には健康保険が適用されますが、その費用がすべてカバーされるわけではありません。このような女性保険の保障があれば、乳房再建の金銭的な不安や精神的な苦痛を和らげられるでしょう。
商品によってはボーナスがある
女性保険の中には、3年や5年ごとに生存給付金が受け取れるものがあります。生存給付金はいわばボーナスのようなもので、数年ごとに受け取れるのはとても魅力的ですよね。
しかし、これは保険会社から支給されるのではなく、自身が月々支払ってきた保険料を原資とするものなので、生存給付金のある女性保険は一般的な医療保険より保険料が高めに設定されています。
知っておきたい女性特有の病気
女性特有の病気には、乳がんや子宮がんをはじめ、子宮筋腫、卵巣機能障害などがあります。厚生労働省の「2017年患者調査」によると、乳がん患者数は22万9,000人、子宮がんは5万6,000人、子宮筋腫は11万6,000人に上ります。
女性のがんの罹患率は乳房が最も高く、結腸、胃、肺、子宮と続きます。40代の女性では乳がん、子宮がん、卵巣がんによる死亡が多いです。他にも子宮筋腫やリウマチ、バセドウ病、甲状腺がんなども女性に多いので、これらに備えるためにも女性保険を有効に活用したいものです。
女性保険を選ぶ際の3つのポイント
貯蓄型か掛け捨て型か
女性保険には、ボーナスが支給されたり、満期時や解約時に支払った保険料の一部が戻ってきたりする「貯蓄型」と、少ない保険料で手厚い保障が得られる「掛け捨て型」があります。
保障を準備しつつ貯蓄もしたい人は貯蓄型を、できるだけ月々の保険料を抑えたい人は掛け捨て型を選ぶといいでしょう。
保障内容で選ぶ
前述のとおり、女性保険のベースは医療保険なので、どの程度の保障が必要かを見極める必要があります。女性特有の病気に対してどこまで保障されるのか、日帰り入院でも入院給付金が支給されるか、先進医療特約があるかなど、数社から資料を取り寄せてこれらのポイントをチェックしておきましょう。
払込期間で選ぶ
女性保険には、保険料が一生涯上がらない「終身型」と、5年または10年といった一定期間は保険料が上がらない「更新型」があります。一般的に終身型は更新型よりも保険料が高く、特に被保険者が若い場合は割高になります。更新型は加入時には保険料が安くても、更新時には保険料が上がるので注意が必要です。
加入前に気をつけることは?
保険会社によって保障内容は異なる
女性保険に限りませんが、保険は保険会社によって保障内容が異なります。たとえば、入院は何日目から保障されるか、乳房再建術の保障があるかなどをチェックしておきましょう。
医療保険との重複
女性保険は女性特有の病気で手厚い保障を受けられるように作られていますが、そのベースは医療保険です。そのため、すでに加入している医療保険がある場合は、保障が重複する可能性があります。重複した分保障はさらに手厚くなりますが、本当にそれだけの保障が必要なのかどうか、保険料とのバランスを見て慎重に判断しましょう。
保険料が高くなる
女性保険は女性特有の病気で保障が上乗せされるので、一般的な医療保険に比べると月々の保険料は割高になります。
女性保険は女性特有のリスクを幅広くカバーできる
女性保険は乳がんや子宮がんなど、女性特有の病気で手厚い保障が受けられるので、女性にとっては安心感がありますよね。しかし、医療費をまかなえる預貯金があれば、そもそも医療保険は不要なのです。
預貯金を崩したくない場合や、保険に加入することで金銭的な不安が和らぐ場合は、保険に加入するべきでしょう。医療保険に加入するなら、まずは女性特有のリスクを幅広くカバーできる女性保険への加入を検討してみてはいかがでしょうか。
文・ことりえ(ファイナンシャル・プランナー)
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