生命保険は自分や家族に万が一のことがあった場合の備えとしてとても大切なものですが、それが理由で現在の家計を圧迫してしまうケースも多いのではないでしょうか。お金が無限にあればさまざまな事態に備え、かつ現在も存分に楽しむことができるのですが、残念ながらほとんどの家庭の資産には限りがあります。今回は、今の生活と将来の備えのためにバランスよくお金を配分するための生命保険の見直し方法をご紹介します。

保険見直しのタイミングは?

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毎月の保険料を負担に感じたとき

保険を見直すタイミングとして一番多いのは、「毎月の保険料、もう少し安くならないかな」と感じたときです。

保険屋さんに行ってどの保険が必要か相談しているときや、インターネットでいろいろと調べているときなどは、あれもこれも備えなければならないような気がしてきます。また、自分のためではなく、大切な家族が関係してくると、多少保険料が高くなっても安心が買えるなら……ということでいろいろな保険に加入することはよくあります。

もちろん備えは万全であるに越したことはないのですが、保険料が高すぎるかなと感じるのは、保険で買える「安心」と保険の「値段」のバランスが取れていないからです。「あの時は必要と思ったけど、よく考えてみるとこんなに保険はいらないかも」と感じたら、冷静になって保険を見直しましょう。

保険というのは、「保険料を支払う代わりに、想定していた事態が起こった時、所定の条件を満たしていれば保険金を受け取れるという契約の金融商品」です。この契約というのがポイントで、もし途中で保険料を払うのが滞ってしまえば、保険金を受け取る権利を失ってしまうだけでなく、今まで支払ってきた保険料も無駄になってしまうかもしれません。これが、保険として積み立てたお金と貯金の異なる点です。

保険料に負担を感じているときはもちろん、「ギリギリ払えそう」という場合でも少しの収入の変化で払えなくなる可能性はあります。保険金を受け取る権利を失わないためにも、「無理のない保険料の範囲内」で継続できるようにしましょう。

保険の更新で保険料が上がるとき

保険を契約するときにもらう「保険証券(保険証書)」を見てみると、「満期」や「更新」という単語をよく見かけます。これらの単語は、例えば貯金の満期や、マンションの賃貸契約の更新のように普段の生活でも使いますが、保険については少し意味が異なり、保険の満期とは保険期間が終了するタイミング、更新とは一定期間ごとに保険料が上がったり保障額が下がったりするタイミングのことをそれぞれ言います。

若いときに加入した保険であれば保険料は安いことが多いのですが、更新のタイミングで保険料が上がったときは、今後何歳でどれぐらいの保険料になるかを確認してみましょう。ほとんどの保険は65歳や70歳を超えるととても高額になっているはずです。20代、30代の時は、老後はずいぶん先のことに思え、将来の保険料のことなど意識せずに加入することも多いのですが、40代になると将来の年金や老後資金について考え始める時期でもあります。より将来を見据えた保険選びが大切になってきます。

同じような保障内容でより安いものがあればいいですし、今は元気に働けているので、今の保険料が上がっても将来の保険料が安くなるなら、その方が自身のライフプランに合っているかもしれません。ぜひ更新のタイミングで今の保険の内容を確認し、本当にこの保険で将来も安心なのかを考えてみてください。

ライフイベントごとに保険の見直しを

保険料が気になったときのほか、ライフイベントがあったときも保険の見直しを考える大切なタイミングです。保険は万が一のことが起こったときの備えですが、ライフイベントによって備える対象が変わったり必要な保障額が変わったりするからです。ここからは、保険を見直したいライフイベントをご紹介します。

<結婚したとき>
結婚は保険を見直す一番大切なタイミングです。というのも、結婚をすると保険は「自分のためのもの」から「家族を守るためのもの」に大きく役割が変わるからです。

特に結婚を機にどちらかが仕事を辞める場合、働いている方は万が一のことがあった場合に備え、十分な保障を持つ必要があります。いわゆる片働きの場合、家族の家計は働いている方の収入によって支えられているので、その方が怪我や病気などで収入が減ったり、万が一のことが起こったりした場合、配偶者はその後の生活に困ってしまうことが予想できるからです。

対して、両方とも仕事を続ける共働きの場合は、通常であればそれほど保障を変える必要はありません。結婚するまでは自分たちの収入で自活できていたわけですし、最低限の保険があれば片方に万が一のことがあっても生活はできるはずです。しかし、それでも結婚した時は保険を見直すことをおすすめします。独身の時はまだ自由にできるお金がある分、「その保険いったい誰のために入っているの?」というような過剰な保険に入っていることもありますし、例えば共働きでも片方がパートタイムになるなどで収入に大きな差ができれば、もう片方の方の保障を手厚くするべきでしょう。

<子供が生まれた時>
結婚によって保険は「家族を守るためのもの」になりますが、子供が生まれるということはその「守る家族が増える」ことを意味します。

子供ができたときに重要になるのが、万が一のことがあったときの「家族の生活費」と「子供の学費」です。結婚したときに家族の生活費の保障は考えているはずですが、家族が増えると当然生活費も増えることになります。また、自分に予想外のアクシデントが起こった場合でも子供には十分な教育を受けさせたいものです。

<マイホームを買ったとき>
意外に思うかもしれませんが、マイホームを買ったときも保険を見直すタイミングになります。と言っても、保障を増やすのではなく減らすタイミングです。

言うまでもなくほとんどの人にとって家の購入は人生で一番高い買い物になります。人によってはお金を貯めて一括で買う人もいるでしょうが、大多数の人は住宅ローンを組んで買うことになるでしょう。それに伴い、半ば自動的に加入することになるのが「団体信用生命保険(団信)」です。

この団信は、契約者に万が一のことがあった場合、以降の保険料が免除される保険です。住宅ローンが2,000万円残っている時点で契約者に万が一のことがあれば、その2,000万円は支払う必要がなくなります。つまり、生命保険の死亡保障と近い保障を担ってくれる保険と言えます。

賃貸住宅に住んでいるときに組んでいた生命保険では、家族の生活費の保障を考える際に住居費も含めたはずです。そうすると生命保険と団信で住居費の保障の部分が重複します。その重複部分を削り保障を適切なものにすることで、保険料を抑えることができます。

<フリーランスになったとき>
今は会社員でも、将来は独立・起業したいと思っている方もいると思いますが、フリーランスになったときはぜひ加入する保険も見直してください。フリーランスになっても会社員の時と同じ、もしくはそれ以上の収入が得られる方でも、保険の保障は手厚いものにした方がいいでしょう。

というのも、会社員とフリーランスでは加入する公的医療保険の種類が変わるからです。具体的には、会社員の方が加入するのは「健康保険」、フリーランスの方が加入するのは「国民健康保険」になります。似たような名前で紛らわしく、ただ前に国民が付くだけで内容は同じと思っている方も多いのですが、受けられる保障が異なるポイントがいくつかあり、その中でも最も重要な違いが「傷病手当金」の有無です。

会社員の方が加入している健康保険では、病気やケガなどで会社を休み、会社から十分な報酬が受け取れない場合、それまで受け取っていた給与額の約3分の2の傷病手当金が最大で1年6ヵ月の間支給されます。これは会社から支給されるものではなく加入している健康保険から支給されるものですが、いずれにしても会社員の方は働けなくなってもすぐに収入が途絶える心配はないということです。

一方、フリーランスや自営業の人が加入する国民健康保険にはこの傷病手当金の制度はありません。つまり、働けなくなったら収入がすぐに途絶えてしまいます。そのため、フリーランスの方は会社勤めの時代より医療保険を手厚くしたり、家族がいる場合は所得補償保険などを新たに検討したりする必要があります。

<子供が独立したとき>
子供が就職して独立したときも保険を見直すタイミングです。子供がまだ学生で収入がないときは、夫婦にもしものことがあった場合に備え、保険も生活費や学費を保障できるものに加入している必要がありますが、子供が経済的に自立したらその後は夫婦2人の保障を重点的に考えましょう。

生命保険の死亡保障などを必要最小限にするほか、重点的に見直したいのは医療保険です。子供が独立する年齢は、親が40代から50代のことが多く、健康診断で悪い数値が増えてくる年代ではあるものの、まだ現役でバリバリ仕事をしているのでそれほど健康の心配をしている人は多くない年代でもあります。

しかし、医療保険は健康状態によって保険料や保障内容が大きく左右される保険で、病気になってから加入しようと思ってもなかなか自分が望む保障を付けられないことは多いものです。逆に体調が安定しているときに手厚い保障の保険に加入しておくと、一生涯のスパンで見たときにトータルのコストが低くなるかもしれません。

このように、子供が独立したら健康なうちに夫婦の老後のことも視野に入れて保険を見直すと良いでしょう。

保険を見直すとどんなメリットがある?

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保険料を抑えられる可能性がある

保険を見直すことで得られる一番のメリットは、なんと言っても保険料が安くなる可能性があることです。特に就職して初めて保険に加入したときは、何が必要な保障で何が不要なのかわかっていないことも多いため、「あれもこれも」と過剰な保険に加入していることはよくあります。本当に必要な保障を、本当に必要な期間だけ加入するだけでも保険料は変わります。

保障内容ではなく、保険会社を変えて保険料が安くなることもあります。今の保険は知り合いの保険屋さんにすすめられて加入したという人であれば、一度同じような保障内容で別の保険会社の商品と比べてみてもいいでしょう。

結婚や出産などを機に保険を見直す場合は、パートナーともよく話し合うようにしましょう。「もし配偶者に万が一のことがあっても自分は資格を持っているのですぐ働くことができる」というようなケースであれば、生活費の保障はその分だけ抑えることもできます。

自分に合う保障を見つけられる

今は保険の種類がとても多く、それこそ保険商品は何百、何千とあります。また、私たちの収入や家庭環境、資産、健康状態も1人1人異なり、こちらも千差万別です。加えて、同じ人に対する保障も今必要になるものと将来必要になるものとでは変わってきます。はじめから自分に合う保障を見つけている人は極まれと言ってもいいでしょう。それだけ保険選びは難しいものです。

人生の節目、またはそれ以外の保険料が負担に感じたときでも見直しを行っていくと、徐々に自分に合う保障を見つけることができるかもしれません。「前の保険は終身と思っていたけど、よく見たら65歳満期だった」という初歩的な勘違いから、「前に見直したときは必要な保障と思ったけど、じっくり考えると私は子供の教育費の方を優先したい」など気づきもあるでしょう。保険は契約したら終わりではなく、その後実際に生活してみて、今の保険で本当に安心感を得られているかを考えることで、よりよい保険を選ぶことができます。

生命保険の種類を知ろう

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公的保険と私的保険

一口に保険と言ってもその種類はさまざまです。まず、大きく分けて保険には国や地方公共団体が運営している公的保険と、民間の保険会社が運営している私的保険があります。さらに私的保険には人の生死に関して保障する生命保険(第一分野)、偶然の事故で発生した損害を補てんする損害保険(第二分野)と、そのどちらにも属さない人のケガや病気に備える第三分野の保険があります。これからは特に、人の生死とケガや病気などに備える第一、第三分野の保険を紹介します。

生命保険

生命保険は人の生死に関して保障する保険で、被保険者が死亡または高度障害者になった場合に保険金が支払われる「死亡保険」、一定期間が終わるまで被保険者が生存している場合にのみ保険金が払われる「生存保険」、そしてその2つを組み合わせた「生死混合保険」の3種類があります。

生命保険にはさまざまなタイプのものがありますが、次の「定期保険」、「終身保険」、「養老保険」は仕組みがわかりやすく基本的なものになりますので、まずこの3つから覚えましょう。

<定期保険>
定期保険は、被保険者が一定の期間内に死亡した場合に死亡保険金が支払われるタイプの死亡保険です。保険料は掛け捨てで満期保険金はないので、他のタイプに比べて保険料が安いのが特徴です。定期保険には保険金額の支払われ方によってさらに次の4つの保険があります。

「平準定期保険」は保険金額が一定の定期保険です。契約期間中であればいつ死亡しても一定の保険金が支払われます。

「逓減定期保険」は保険金額が一定期間ごとに減少する定期保険です。例えば、20代の時は2,000万円の保険金が必要だけど、30代は1,500万円、40代になると子供が自立するので1,000万円でOKと言った具合に、満期に近づくほど保険金額は少なくなります。反対に保険金額が一定期間ごとに増加する定期保険は「逓増定期保険」と言います。

「収入保障保険」は保険金が一時金ではなく、毎月一定額などというふうに複数回に分けて年金形式で支払われる定期保険です。例えば、被保険者がいつ亡くなっても満期まで月々20万円受け取れるなどのようにすると、残された家族も生活費の管理がしやすくなります。希望すれば一時金で受け取ることもできますが、その場合年金形式で受け取る総額よりも少なくなります。

<終身保険>
終身保険は、保険が一生涯続くタイプの保険です。死亡保障が一生続くので満期保険金はありませんが、解約時の解約返戻金が多く貯蓄性の高い商品と言われています。ただし、早期に解約してしまうと解約返戻金が払込保険料より少なくなってしまいます。

<養老保険>
養老保険は、一定の期間内に死亡した場合には死亡保険金を受け取ることができ、満期時に生存していた場合は死亡保険金を受け取ることができる生死混合保険です。死亡保障と貯蓄を兼ねそろえるので一般的に保険料が高額になります。

生命保険は上記の3タイプが基本的なもので内容もわかりやすいので、みなさんが保険を選ぶ時もこの3つから選ぶことをおすすめします。ただし、生命保険には他にもさまざまなタイプがあるので、他のものも簡単にご紹介します。

<定期保険特約付終身保険>
定期保険特約付終身保険は、その名の通り終身保険に定期保険の特約がついた保険です。終身保険は一生涯続きますが、その分保険料が高くなるため高額な保険金の保険に加入しづらいという欠点があります。そこで、例えば、子供が独立するまでの期間だけ保障を手厚くするために、定期保険を特約で付けるといった一定期間の死亡保障を厚くしたのがこのタイプの特徴です。

<利率変動型積立終身保険(アカウント型保険)>
利率変動型積立終身保険は、支払った保険料を積立部分と保障部分に、一定の範囲内ですが自由に設定できる保険です。保険料払込期間が満了したあとは、積立金を終身保険や年金に移行することができます。かなり自由度の高い保険ですが、その反面内容が複雑になりやすくわかりにくいという欠点があります。

<団体保険>
団体保険は、企業や組合などの団体が契約するタイプの保険です。集団で加入する分、保障が同じであれば保険料は割安になります。

<こども保険(学資保険)>
こども保険は、子供の進学に合わせて進学祝いがもらえ、満期には満期保険金を受け取ることができる保険です。親が死亡した場合はそれ以降の保険料は免除され、祝い金や満期保険金は当初の契約通り支払われる点が特徴です。

<変額保険>
変額保険は、加入者が払った保険料を保険会社が株式や債券などで運用し、その運用結果に応じて保険金や解約返戻金の額が変動する保険です。保険期間が一生涯続く終身型と一定の有期型があります。万が一の時に支払われる保険金には最低保証がありますが、解約返戻金や満期保険金には最低保証はないので注意が必要です。

個人年金保険

個人年金保険は生命保険の一種で、契約時に決めた一定の年齢に達すると年金を受け取ることができる保険です。年金の受け取り方によって次のように分類されます。

<終身年金>
終身年金は、生きている間ずっと年金が受け取れるタイプです。

<保証期間付き終身年金>
終身年金は長生きすれば得ですが、早くに亡くなってしまえばその分損になります。保証期間付き終身年金は、生死に関係なく保険金が受け取れる保証期間が決まっているので、もしも本人が早くに亡くなったとしても残された家族が年金を受け取ることができます。保証期間の後は生きている場合にのみ年金が受け取れます。

<有期年金>
生きている間の一定期間(例えば10年間など)年金を受け取れるタイプです。その一定期間内に亡くなってしまった場合は、基本的に年金は打ち切られます。

<保証期間付き有期年金>
保証期間付き有期年金は、保証期間付き終身年金と似ているのですが、保証期間中は本人が亡くなっても残された家族が年金を受け取ることができ、保証期間が終わったら本人が生存している場合にのみ初めに決めた期間まで年金が受け取れるタイプです。保険金を受け取らずに早くに亡くなってしまうリスクを少なくした保険と言えます。

<確定年金>
本人の生死に関係なく、一定期間年金を受け取れるタイプの個人年金保険です。決められた全期間が保証期間の有期年金とも言えます。

<夫婦年金>
夫婦いずれかが生きている限り年金を受け取れるタイプの保険です。

<変額個人年金保険>
変額個人年金保険は、変額保険と同じように、保険会社が株式や債券などを運用し、その運用成果に応じて年金や解約返戻金の額が決まる保険のことです。一般的に、年金が支払われる前に本人が亡くなった時に残された家族が受け取る死亡給付金には最低保証がありますが、解約返戻金には最低保証がない場合がほとんどですので注意が必要です。

保険の見直しで抑えておきたいポイント3つ

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備えたい項目ごとに保障を見直す

保険の見直しで最初にすることは、自分に必要な保障を検討することです。必要な保障はその人の年齢や家族構成、環境や仕事によってさまざまですし、将来のどの部分に不安を感じるのかも個人差があります。なので、自分にどの保障が必要なのかは自分できちんと決めるようにしましょう。

必要な保障が決まったら、まず今加入している保険でその保障が受けられるか確認しましょう。その際、満期は自分が必要とする保障期間になっているか、更新後の保険料はどうなるのかなどもチェックしたいところです。

もし今加入している保険で足りない場合、必要とする保障についてどんなタイプの保険に加入するかを検討していくことになります。それぞれの保障ごとに1つの保険に入ると、後の見直しが簡単になりますし、保険の内容も簡単にわかっておすすめです。前述の定期保険特約付終身保険に代表されるように、ある主契約に特約をつけて保障をプラスする保険もあります。しかし、どの保障が何に対応するのかわかりにくくなってしまう上、主契約を解約すると特約も無くなってしまうなど、保険の管理が複雑になってしまいます。

例えば、次のような40代の会社員の方の場合を考えてみましょう。

<具体例>
家族構成:本人(40)、配偶者(38)、子供(2歳)
希望する保障1.自分に万が一のことがあった場合、家族が安心して暮らせる生活費を残したい。
希望する保障2.子供の教育資金を備えたい
希望する保障3.葬式費用を準備したい

この場合、希望する保障ごとに保険を検討していきます。

希望する保障1の生活費では、会社員の方であれば遺族年金などの公的保険が受給できます。それらを考慮した結果、自分で用意する必要があるのは月々15万円程度だとすると、検討する保険としては一度に保険金を受け取れる定期保険か、月々保険金を受け取れる収入保障保険などになります。

希望する保障2の教育資金は、子供が安心して大学まで卒業できるだけの資金が必要です。この場合はこども保険や、子供が22歳になるまでの定期保険などが検討されるでしょう。

希望する保障3の葬儀費用は、必ず必要になる費用なので200万円程度の終身保険などが適しています。

この場合、例えば200万円の終身保険に特約で定期保険を加えていくこともできますが、それぞれの希望保障ごとに保険に加入した方がわかりやすく、あとからの見直しも簡単です。また、今後の見直しをしていくにつれ、貯金があるので終身保険は必要ないということになっても、他の特約が気になって終身保険が解約できないということになると保険の見直しが不自由になってしまいます。

必要な保障額を見直す

必要な保障がすべて備わっていても、保障額に過不足があれば充分な保険とは言えませんので、適正な額に見直す必要があります。適正な額を知るには自分たちの今後のライフプランをイメージしてみると良いでしょう。

例えば、今年18歳になる子供の教育資金に備えて2,000万円の定期保険に加入していた場合を考えてみましょう。子供が希望している学部は経済学部で、大学院に行く予定はないとのこと。この場合、大学4年間分の備えがあればいいので、保障額を1,000万円に減額しても充分でしょう。

保険期間や保険料払込期間を見直す

希望通りの保障に備える保険に加入していても、保険料が高いと継続していくのは難しくなります。保険料が家計の負担になっている場合の対策は後述しますが、その前に保険期間や保険料払込期間を見直す方法があることも覚えておいてください。

例えば、30歳の時に保険料払込期間が60歳までの終身医療保険に加入した方の場合を考えてみましょう。保障内容には満足していますが、保険料が高くて家計の負担になっています。この場合、保障内容を変えずに保険料を下げる方法として、払込期間を長くするという方法があります。例えば、保険料払込期間を今の60歳から「終身」に変更すると、保険料を払う期間が長くなる分、月々の保険料は安くなります。ただし、この方法は60歳以降も保険料を払い続けなければならなくなるというデメリットもあるので注意しましょう。

それでも保険料が高額な場合は

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保険以外で備えられないか考える

ポイントを押さえて保険を見直しても、いぜんとして家計の負担になっている場合、必要な備えをすべて保険で準備しようとしている可能性があります。その場合は、「この保障は保険じゃないとダメなの?」と問いかけてみましょう。

例えば、前述の葬式費用などは、すでに貯金があればそれを確保(または安全な資産で運用)しましょう。これで終身保険に払う予定だった保険料の金額を生活費に回せます。老後のための資金も、個人年金保険でしか貯められないということではありません。個人向け国債などで蓄えておくと、老後資金としてだけでなく、急にお金が必要になった時にもすぐに換金し、必要な用途に使うことができます。

保険には目的があって加入しますが、逆にいうと払った保険料はその目的以外では使えないか減額されてしまいます。その点、貯金や個人向け国債などはいろいろな目的に使えます。万が一の時の家族の生活費のために何千万円も貯金で準備できる人は多くないでしょうが、そういった多額の保険金が必要な保障以外の、特に貯蓄性が高い保険は、貯金などで替えが効かないか検討してみましょう。

保険費用の適性割合は4~6%

どうしても保険料が低くならない場合、保険費用の適性割合から保険を選ぶのも1つの方法です。保険を見直すと、あれもこれも備えた方がいいのかという気になりますが、収入に限りがある以上すべてに備えることはできません。自分が本当に備えたい保障に優先順位を付け、独身や夫婦2人の場合は手取りの4%、子供がいる場合は手取りの6%を目処に、その範囲内に収まらない保険は思い切って除外してみましょう。万が一の時の備えは大切ですが、今の生活も同じように大切なのです。

すべてに備えるのではなく、家計の中でベストな備えという意識を

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今回は家計の負担を抑えるための生命保険の見直し方法をご紹介しました。人生にはさまざまなリスクがあり、その不安に備えるためにある程度お金を使うことはもちろん必要ですが、そのせいで今の生活を犠牲にする必要はありません。実際に生活している今も同じように大切です。すべてに備えるのではなく、今の生活とバランスをとって、ベストな備えをという意識で保険を見直してみましょう。

文・松岡紀史(ファイナンシャル・プランナー、ライツワードFP事務所

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