皆さん、損害保険と聞いてどのようなことをイメージしますか?「自動車で事故をした時や火事になった時などに補償してくれるもの」くらいのイメージはあっても、正直なところ良くわからないという方も多いのではないでしょうか?損害保険は世の中のリスクの数だけ種類があると言われるほど、その補償範囲は多岐に亘ります。本記事では損害保険の種類とその内容、さらに加入者の保険料平均についてもご紹介します

損害保険にはどんな種類があるの?

(写真=PIXTA)

損害保険は大きく次の3種類にわかれます。

自動車や住まいの保険

損害保険の中では、一番イメージしやすいのが自動車や火災保険などではないでしょうか。自動車保険には、車を購入した際に強制的に加入することになる自賠責保険と民間で任意に加入することになる自動車保険の2種類があります。一般的にCMで流れているような損害保険会社の自動車保険は、任意の保険となります。

また、住まいの保険は火災になった際に補償される火災保険、火災保険で補償されない地震での補償を行ってくれる地震保険があります。

ケガや病気に備える保険

ケガや病気に備える保険と言えば、生命保険での保障が考えられますが、損害保険でも備えることができます。

具体的には、偶然な事故などを原因としてケガをした場合に補償される傷害保険や、ケガや病気により、一定期間仕事ができなくなった場合の所得を補償する所得補償保険があります。

スポーツやレジャーに備える保険

損害保険には、スポーツや旅行などのレジャー時での損害について補償してくれる保険があります。

例えば、ゴルフ中に発生した事故などによってケガをした場合に補償してくれるゴルファー保険や、旅行中の偶然な事故によるケガや盗難などを補償してくれる国内・海外旅行傷害保険などがあります。

次の項目ではそれぞれの保険について詳しく説明します。

損害保険の詳しい保険内容

(写真=PIXTA)

自動車保険

・自賠責保険(強制)
自賠責保険とは、自動車損害賠償保障法により自動車の所有者すべてが加入を義務付けられている強制保険です。加入していなければ、一般道を走行することはできません。

自賠責保険の補償範囲は対人のみ補償され、対物については補償されません。例えば、建物や相手の車にぶつけてしまった場合、自賠責保険では建物の修理や車の修理代については一切補償されないことになります。

また、対人の補償額についても、最大で4,000万円までしか補償されません。

このような背景から、事故に備えるために任意の自動車保険に加入する必要があるのです。

・自動車保険(任意)
自動車保険は自賠責保険のみの加入では不足する補償範囲について、任意で加入できる保険になります。2020年3月発行の版損害保険料率算出機構統計集によると、2018年度の新契約件数は3,931万件、1件あたりの保険料は24,827円となっています。

自動車保険は、大きく分けると次の4種類に分かれます。

1.対人賠償保険
自動車事故により、他人の生命や身体に与えた損害を補償する保険です。自動車事故で自身や同乗者がケガをした場合は補償されませんので、注意が必要です。

2.人身傷害保険
この保険は対人賠償責任保険と異なり、自動車事故が発生した際に、運転者や同乗者(被保険者の家族)が負った傷害について補償する保険です。

3.対物賠償責任保険
自賠責保険では補償されなかった対物について補償する保険になります。こちらについても、他人の財物に与えた損害について補償してくれる保険となり、自身の車の修理代などは補償されません。

4.車両保険
車両保険は運転者自身の車が事故等によって損害を被る、盗難に遭うなどした場合に補償する保険です。
自動車保険では、上記4種類の保険について、自分の必要なものを取捨選択して、加入することになります。

住まいの保険

・火災保険
火災保険とは、火災だけでなく落雷や風水害、雪災、破裂、爆発などによって生じた、建物や家財の損害などを補償してくれる保険です(補償される内容は、保険会社によって異なります)。

火災保険は自分が火事を起こさなければ良いだけですから、「加入しなくてもいいのでは?」と思うかもしれませんが、近隣からのもらい火(類焼)で自宅が火事になる可能性もあります。

日本では「失火責任法」という法律があり、他人の家からのもらい火によって損害を被ったとしても、相手に故意や重大な過失が無ければ賠償責任を問うことができません。

そのため、持ち家を購入した場合などは、火災保険が必要かどうか、検討する必要があります。

なお、加入範囲については「建物のみ」、「家財のみ」、「建物と家財両方」から選択できますので、必要に応じて加入しましょう。

なお、2020年度版損害保険料率算出機構統計集によると、2018年度の新契約件数は1,689万件、1件あたりの保険料は6万7,170円となっています。

・地震保険
地震保険は通常の火災保険では補償されない地震・噴火・津波を原因とする火災・損壊などを補償してくれる保険です。また、地震保険は火災保険とセットで加入する必要がある保険であり、地震保険単独で加入することはできません。

日本はご存知の通り地震大国です。住宅購入の際などは火災保険と同様に加入を検討すると良いでしょう。

なお、2020年度版損害保険料率算出機構統計集によると、2018年度の新契約件数は930万件、1件あたりの保険料は31,940円となっています。火災保険の新契約件数を踏まえると、約55%の方は加入されていることになります。

ケガや病気に備える保険

・傷害保険
傷害保険とは「急激」かつ「偶然」な「外来」からの事故による、身体に負ったケガ(骨折、やけど等)を補償してくれる保険になります。

これに当てはまる事故としては、例えば交通事故によるケガなどがあります。逆に慢性的に持っている持病が悪化したなどの場合は対象外になるので注意が必要です。

傷害保険で支払われる保険金は「死亡・後遺障害保険金」「入院保険金」「手術保険金」「通院保険金」などがあります。

これだけ見ると、生命保険の医療保険と似たような印象を持つかも知れませんが、冒頭に記載した「急激」「偶然」「外来」の3要件があるため、実際は補償範囲が狭くなっています。そのため、保険料は生命保険の医療保険と比べて安価になることが多いようです。

自分は、交通事故やケガで入院するリスクが大きいと考えるならば、傷害保険を検討するのが良いでしょう。

なお、2020年度版損害保険料率算出機構統計集によると、2018年度の新契約件数は家族の補償等も含めて537万件となっています。

・所得補償保険
所得補償保険は会社員や自営業者などの方が病気やケガなどで仕事ができなくなった場合に収入を補う保険です。似たような商品に生命保険会社が提供する就業不能保険がありますが、内容が異なるので注意しましょう。

具体的には、所得補償保険は支払要件が医師のドクターストップによるものであり、支払期間が2年と言った具合に短くなります。

一方、就業不能保険は、終業が困難であると医師により診断された場合に、65歳まで収入を補償するなど、一般的には所得補償保険よりも重度の症状になった場合に長期に備える保険となっています。

所得補償保険については、ケガで1年間働けなくなった場合でも、住宅ローンはまだ残っているなど、支払が定期的にあるような方が備えると良いでしょう。

・自転車保険
自転車保険は自転車運転中のケガで入院・通院した場合の運転者の補償、相手にケガを負わせたり物を破損してしまった場合の損害賠償に備える保険です。

自転車保険に加入する必要性なんてないのではないか?と考えられる方もいらっしゃるかも知れませんが、自転車事故で賠償金額が9,000万円を超える事件があるなど、備えておくにこしたことはありません。

また、地域によっては自転車保険の義務化に踏み切っている自治体もあります。コンビニで加入可能な自転車保険もあるなど、手続きが簡単という点にも特徴があります。

スポーツ・レジャーに備える保険

・国内旅行傷害保険/海外旅行保険
国内旅行傷害保険や海外旅行保険は旅行先でのケガや、誤って物を壊してしまった場合などの旅行先でのトラブルに備える保険です。

プールで遊んでいて滑ってケガをしたり、観光中に転倒してケガをしたりと、旅行先でのトラブルに備えることができます。旅行先で荷物が盗難に遭ってしまった場合にも対象になります。

なお、2020年度版損害保険料率算出機構統計集によると、2018年度の新契約件数は、国内旅行傷害保険118万件、海外旅行保険が314万件となっています。

・ゴルファー保険
ゴルファー保険は、打ったボールを人に当ててしまいケガを負わせてしまったり、他の人が打ったボールが自分に当たりケガをしたりした際に補償してくれる保険です。

そのほかにも、スイング時に地面を叩いてしまいクラブが折れた場合や、ホールインワン時にキャディーに渡すお礼なども補填してくれます。

自分の生活に合わせたリスクに備えて、損害保険を活用しよう

(写真=PIXTA)

損害保険は日常生活に潜むリスクに備える保険です。リスクの種類に合わせて細かく補償が設定されていますので、ご自身の生活で起こり得るリスクに合わせた損害保険に加入することで、適切な保険料で、十分な補償を得ることができます。

改めてご自身の生活を振り返り、必要な補償を見直してみてください。

文:kouki(ファイナンシャルプランナー・消費生活アドバイザー)

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