木曽路の宿場町「宮ノ越宿(みやのこしじゅく)」をご存知ですか?木曽十一宿の中では比較的マイナーな宿場町ですが、実は周辺には見どころがたくさんあるんです。本記事では、宮ノ越駅から徒歩圏内の観光スポットをご紹介します。
宮ノ越宿って?
長野県南西部の木曽地域は、江戸時代に整備された五街道の1つである中山道沿いに広がる一帯です。旧中山道のうち、木曽地方に位置する部分を木曽路といいます。
木曽路には11の宿場町が存在します。「宮ノ越宿」も木曽十一宿の1つです。
宮ノ越宿は木曽大工の発祥地と言われています。今でも宮ノ越宿には、宿場町特有の出梁(だしばり)造りの邸宅が点在しています。これらの家の軒下には、木曽大工による細かい見事な彫刻の「持送り(もちおくり)」を見ることができます。
また宮ノ越宿には宿場町の面影だけでなく、平安時代末期の武将、源義仲(木曾義仲)に関係した伝承の地も多く存在しています。
ここでは、車に乗らない人でも観光できるよう、JR宮ノ越駅から徒歩圏内の観光スポットをご紹介していきます。
宮ノ越宿周辺の見どころ7選
1. 日照山徳音寺 [宮ノ越駅から徒歩5分]
宮ノ越駅から木曽川を渡ると、正面に小高い山が見えてきます。その山の麓にあるのが日照山徳音寺。徳音寺は、木曾義仲の菩提寺と伝えられています。徳音寺の本堂を奥へ進むと、義仲や彼の愛妾(あいしょう)・巴御前(ともえごぜん)のお墓があります。
徳音寺は木曽町日義地区随一の桜の名所でもあります。また夏には、鮮やかな緑色の木々が訪れる人々を迎えます。このように徳音寺は、四季折々に美しい姿を見せてくれます。毎日18時に鳴り響く「徳音寺の晩鐘」は、木曽八景の1つにも数えられています。
2. 義仲館 [宮ノ越駅から徒歩4分]
義仲館は、平安末期の武将・木曾義仲に関する歴史資料館です。門をくぐると、義仲とその生涯のパートナーであった巴御前の銅像が訪れる人々を迎えます。
木曾義仲は武蔵国(現・埼玉県)で生まれ、幼名を駒王丸と付けられました。父・源義賢が討たれたとき、駒王丸はまだ2歳でした。このとき駒王丸も殺害されるはずでしたが、ひそかに匿われて木曽に逃れました。その後、木曽で養育を受け、宮ノ越に館を構えました。これらのことから、宮ノ越地区には義仲ゆかりのスポットが多く存在しています。義仲館は、そんな義仲の生涯を後世に残す伝承の場となっています。
※2020年5月現在、リニューアルのため閉館中となっております。2021年4月リニューアルオープン予定。
3. 巴淵 [宮ノ越駅から徒歩20分]
徳音寺の門前から、山づたいに細い道を歩いていくと、1本の小さな橋に突き当たります。橋を渡ると、崖下にエメラルドグリーンの美しい川が見えます。そこが巴淵(巴ヶ淵/巴渕)です。
巴淵は、山吹山の直下にあるS字型をした深淵で、巴状に渦巻く様子からその名が付けられました。巴淵には、その深淵に住む龍が巴御前に化身して義仲の生涯を守り続けた、という伝説が残っています。
草木の生い茂る巴淵は、初夏には美しい新緑、秋には紅葉の名所としても知られています。木曽三川三十六景の1つにも数えられています。
4. 旗挙八幡宮 [宮ノ越駅から徒歩15分]
木曾義仲旗挙げの地
旗挙八幡宮は、1180年に義仲が以仁王の令旨を受け、ここで平家追討の旗挙げを行ったことからその名が付けられました。
木曾義仲ゆかりの大欅
社殿のすぐ左手に立つ欅の大木は、義仲の元服を祝して植えられたと伝えられています。周囲約10メートル、樹齢約800年と言われています。台風や落雷に見舞われ傷ついた大欅の姿は、まるで31歳で戦死した悲劇の将軍義仲を物語っているかのようです。