夫から思いがけない言葉が
「結構すれ違い夫婦っぽくなっていて、ある日の土曜日の昼ごろ、夫はリビングでテレビを見ている私に仕事を辞めて専業主婦になって欲しいと言い出したんです。一瞬耳を疑いましたが、夫の顔は真剣だったのを覚えています」
夫の真意は、小さい時に母子家庭で育ち寂しい思いをしたから、家に帰った時には誰かにいて欲しいというものだったそう。
「そんな急に会社は辞められませんし、ましてや理由が単純すぎるんですよ。これから子育てとかも始まれば教育費用や、もっと大きな家に移り住んだりと、お金は必要だと思うんです。だから、目標の金額を決めて、それが貯まるまでは仕事を辞めないと言ったんです」
康太さんは彩子さんの筋の通った考えに何も言い返せず、その話はしばらく夫婦の間には出なくなりました。
再び夫からの提案、バイトをすることに
それからしばらくして、康太さんは自分が勤める研究所の関連施設で残業という名目でアルバイトをすると言い出したそう。一生懸命稼ぐから、彩子さんに退職してほしいと懇願してきたのでした。
「夫の気持ちも分からないではないのですが、そのアルバイトがどんなものなのか、いつまで続けるのか、いろいろ不確定要素もあったので、とりあえず半年間様子を見てから結論を出すって言ったんです」
残業の場所は、研究所から徒歩で数分の場所にある研究者養成センターで、毎日2~3時間インターンの若者などにいろんな仕事のノウハウをレクチャーするとのことです。それ以降、康太さんの帰りも夜遅くになることがしばしば増えることになったそうです。