藤原 幸雄(ふじわら ゆきお)さん プロフィール
防衛大学を卒業後、陸上自衛隊に入隊。第1空艇団、レンジャー、射撃、スキー教官から、戦技教官、戦技室長などを経て、55歳で定年退官。退官後に東京のIT企業へ就職。10年間勤務をしたのち定年退職。2017年4月よりフリーランスとなり、69歳の現在もスキーのインストラクターとITエンジニアとして活動中。「プロエンジニア」として株式会社PE-BANKに所属。
さくマガでは仕事のヒントを得るために、さまざまな方にインタビューをしています。今回お話を聞いたのは、69歳となった現在もフリーランスエンジニア・スキーインストラクターとして活動中の藤原幸雄さん。藤原さんに仕事をするうえで意識していること、長く働くうえで大切なことについてうかがいました。
(オンラインでお話をうかがいました)
自衛隊を定年退職してエンジニアに
ーー本日はよろしくお願いします。藤原さんはエンジニアになる前は自衛官として働いていたそうですが、自衛隊ではどのようなことをされていたのか教えてください。
自衛隊には、陸上・海上・航空といった部隊がありますけれども、私がいたのは陸上普通科部隊です。 普通科部隊というのは、一般的には敵と一番近い間合いで戦う部隊になります。
よく戦争の映画で匍匐(ほふく)をしたり、敵部隊に向かって突撃をするシーンがありますけれど、そういう敵と一番近い間合いで、敵に直接攻撃をするような部隊ですね。
ここで、小隊長から中隊長、定年間近では副連隊長まで任されました。 自衛隊の定年は階級によって変わりますが、私の最終的な階級では55歳が定年でした。
ーー55歳で定年退官され、その後にIT企業へ就職されたそうですが、自衛官からエンジニアに転身というのは、かなり珍しいと思うのですが、これまでにエンジニアとしてどのような仕事をされていたのでしょうか。
定年退官後、東京にあるITベンチャー企業に就職をしました。社内SEとしての仕事がメインです。 社内SEの仕事が忙しくない時期には、会社が持っている案件も担当していましたね。定年となる65歳まで約10年間働かせていただきました。
現在は、ネットワークやサーバーの構築といったインフラ系の仕事をしています。
自衛官からIT業界に転職した人は私の周りでは他にいないですね。警備会社の警備員だったり、都道府県にある防災監になる方が多いと思います。
ーー定年を二度むかえられているということですね。藤原さんは国家資格を3つ、ベンダー資格を2つお持ちとのことですが、これらは定年退官後に勉強して取られたのでしょうか?
定年退官後に備えて定年の3年くらい前から勉強をしていました。自衛隊の仕事をしながら、仕事が終わった後の夜の時間や、土日の空いてる時間に勉強していました。 通信教育を受講していましたが、基本的には独学です。
(自衛隊時代の藤原さん)
自衛官時代の経験が役立ったこと
ーー定年退官に備えていたんですね。自衛官時代の経験がエンジニアの仕事で役立ったことはありますか?
技術的なことに繋がりはありませんね。ただ、仕事の進め方ですとか、難しい局面にぶつかったときに、それを解決するためのアプローチの仕方などは、自衛隊時代の経験が生きていると思います。
具体的に言うと、仕事をするときにまず組織を作りますよね。組織を作ってスケジュールを立てて、中間の目標を決めて仕事をこなしていく。そんな考え方はエンジニアの仕事でも役に立っていると思います。
ーー自衛官時代と現在の仕事の大きな違いってなんでしょうか?
自衛隊のときは中間管理職的な立場でした。いろいろなことに気を使いながら、幅広く情報収集をしながら、仕事をしていました。また、自衛隊は勤務時間が決まっていますが、災害が起きたときなどには、すぐに出勤をしなければいけない……。24時間常に気を張って、備えておく仕事です。
現在、私の立場は管理職ではなく、技術屋として自分の職務に集中できる立場です。自衛隊のように24時間気を張る必要もないですし、自分のやりたい技術に集中して仕事をすることができています。これが大きな違いですね。
ーー話は変わりますが、藤原さんは北海道出身で、自衛隊でも北海道勤務が長かったとうかがっています。弊社も北海道にオフィスとデータセンターがあるのですが、北海道で働く良さを教えてください。
私の場合、スキーが好きなのでスキーインストラクターも3年ほどしています。雪がよく降る北海道だからこそできることで、個人的にはすごくよかったなと思っています。ダイビングが好きなら沖縄、スキーが好きなら北海道がいいのではないでしょうか。
(スキーをしている藤原さん)