都道府県によってなぜガソリン価格に違いがあるの?

ガソリンの価格を決めるのに大きく関係しているのが、ガソリンを運ぶのにかかる『物流費』と、その地域のガソリンスタンドの数、いわば『競合がいるかどうか』です。油槽所や製油所に近く、競合店が多い茨城県、埼玉県、神奈川県は、ガソリン価格が安い傾向にあるといえます。それはなぜでしょう? ご説明します。

ガソリン代が都道府県で違う理由1:物流費

油槽所(ガソリンを貯蔵しタンクローリーに詰め込む施設)や製油所から、ガソリンスタンドへガソリンを運ぶ物流費が高くなるにつれ、ガソリン価格も当然高くなります。九州など離島が多い地域は物流費がかさむので、必然とガソリン価格も上がります。人件費の高騰により、物流費が年々値上がりしているため、物流費がかさむ地域とかさまない地域の価格差が大きくなっているといえます。簡単に言えば、油槽所や製油所に近ければ近いほど物流費が安く、ガソリン価格もおさえられる、ということです。

ガソリン代が都道府県で違う理由2:競合が多いエリア

競合店が多い地域では、ガソリンの販売量が他店より多いと石油元売り会社からインセンティブが出ることもあります。そのため、少しでもガソリンの販売価格を下げ、集客数を上げている店舗が多いのです。この、いわゆる「価格競争」が起こることによって、競合店が多いエリアでは比較的安価でガソリンを給油することができるのです。しかし、もし周りに競合店がなければ、価格を下げなくても集客が見込めるので、ガソリン価格は高いままとなります。

今後のガソリン価格はどうなるの?

シェールオイル(合成石油)がアメリカで見つかったことで、ガソリンの生産コストが下がり、今後ガソリンの販売価格も下がるのでは…との声もあります。しかし、石油生産国ではない日本では、ガソリン価格は世界情勢により上下しながらも、1998年に99円→2020年に150円(レギュラーガソリンの価格)と、全体的には上昇し続けているのが現状です(グラフ参照)。シェールオイルが今後の市場に今以上に浸透すれば、ガソリン生産コストは下がる可能性は高いですが、物流費が高騰し続ければ、ガソリン輸入国の日本において、ガソリン販売価格が下がるとは考えにくいでしょう。

全国で増加する『ガソリンスタンド過疎地(SS過疎地)』

「SS」はサービスステーションの略で、ガソリンスタンドのことです。「SS過疎地」とは、経済産業省資源エネルギー庁が定めた用語で、市町村内のガソリンスタンドが3ヶ所以内の自治体をさします。ガソリン需要の低下や後継者難などの理由により、全国のガソリンスタンドは減少傾向にあります。

同庁の調査によると、2019年3月31日時点で、東京特別区を除き、市区町村数は1718。そのうちガソリンスタンド数が0ヶ所なのが9町村、1ヶ所が83町村、2ヶ所が104市町村、3ヶ所が129市町村、つまりSS過疎地と定義される市町村は全国に325地点もあるんです。

近隣にガソリンスタンドがないと、自家用車や農業機械への給油が大変になるので、地方移住を検討している人は、そこがSS過疎地かどうか必ず確認するようにしましょう。そして、居住予定地から一番近いガソリンスタンドと、そこが将来営業を停止してしまったときのために、念のために次に近いガソリンスタンドの位置と距離を把握しておきましょう。

まとめ

車が必要不可欠となる地方での生活は、ガソリン代が生活費の中で大きな存在になることを覚えておいてください。車での移動は、天気や服装などさほど気にせずどこへでも行けるというメリットがありますが、お金の面では結構な負担になります。地方移住を考える人は、ガソリン代の今後の動きに注目すると共に、一番近いガソリンスタンドの位置と距離を必ず確認するようにしましょう。


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