株式投資ではしばしば耳にする「時価総額」。「時価総額の世界ランキング」など、投資先を評価する際にはぜひ参考にしたい数値です。時価総額の算出方法や、時価総額上位の企業について紹介します。
そもそも時価総額とは?
企業の価値を評価する指標といえば株価ですが、株価だけでは企業の経営規模までは比較できません。そこで参照されるのが「時価総額」です。
企業価値を表す
「時価」とはその日の市場における株価格のことで、時価総額は「株価×発行済みの株式数」で算出されます。上場株式数と発行済株式数が異なるときは、上場株式数に株価をかけた数値を時価総額とすることもあります。
株価が同じ企業であっても、発行済株式数が違えば時価総額が変わります。しかし時価総額を評価指標にすれば、数値が高いほど企業規模が大きく、会社全体の価値も高い評価をすることができます。シンプルかつ明確に企業価値を示せるのが時価総額なのです。
世の中に与える影響度の大きさ
時価総額の上位にある企業の多くは、私たちの生活になくてはならない商品やサービス、価値観を提供している企業です。雇用面や環境保全活動でも、社会に少なからず貢献していることでしょう。
また時価総額は、株式市場全体の動きを測るための数値である「TOPIX」に大きな影響を与えています。「TOPIX」は東証1部上場の全銘柄の時価総額から算出されるため、時価総額が大きい企業の影響を受けやすい指標です。一方「日経平均株価」は、東証1部上場企業の主要225銘柄の平均株価であるため、主要銘柄全体の動きを判断するのに適しています。
グローバル企業の時価総額
日本国内で時価総額1位はトヨタ自動車です。日本経済をけん引する、誰もが知る大企業です。しかし、世界を見渡すと、それ以上の時価総額を有する企業がたくさん存在しています。
世界の時価総額上位に日本企業が並んでいたのはすでに昔の話です。株式投資を成功させるには、世界に目を向ける必要がありそうです。
グローバル投資は分散効果を向上させる
投資の基本的な手法に「分散投資」があります。分散投資にはさまざまな商品に投資する商品分散や、一度に購入せず時間を分けて定期的に購入する時間分散、複数の通貨を組み合わせる通貨分散などいくつかの方法がありますが、いずれも1つの投資先の値動きによる資産全体への影響を小さくすることが狙いです。
外国株など、さまざまな国・地域の金融商品に投資するのが「地域分散」です。日本株のみの投資では日本の景気に左右されますが、外国株を持つことでリスクヘッジできる可能性があります。分散投資という観点からも、外国株は魅力ある投資対象であり、海外企業の時価総額にも関心を持つことが重要です。
国内/世界の時価総額ランキングは?
実際の時価総額ランキングはどうなっているのでしょうか。まずは国内ランキングから見てみましょう。
▽国内企業の時価総額ランキング
順位 | 名称 | 時価総額 | 業種 |
1 | トヨタ自動車(株) |
22兆1,981億7,200万円 |
輸送用機器 |
2 | ソフトバンクグループ(株) |
14兆1,961億900万円 |
情報・通信 |
3 | (株)NTTドコモ |
12兆5,496億8,300万円 |
情報・通信 |
4 | (株)キーエンス |
11兆4,915億6,300万円 |
電気機器 |
5 | ソニー(株) |
10兆9,384億2,400万円 |
電気機器 |
6 | 日本電信電話(株) |
8兆5,661億3,300万円 |
情報・通信 |
7 | (株)ファーストリテイリング |
7兆7,126億1,600万円 |
小売業 |
8 | 任天堂(株) |
7兆5,025億円 |
その他製品 |
9 | 中外製薬(株) |
6兆7,514億9,100万円 |
医薬品 |
10 | (株)リクルートホールディングス |
6兆7,329億6,100万円 |
サービス業 |
(2020年10月末時点)
国内時価総額はトヨタ自動車が断トツの1位ですが、続いてソフトバンクグループ、NTTドコモとIT・通信系の企業が上位にランクインしています。IT・通信系の企業が上位となる傾向は、世界の時価総額ランキングでも同様です。
▽世界の時価総額ランキング
順位 | 名称 | 時価総額 | 業種 | 国名 |
1 | アップル |
2兆149億7,200万ドル |
IT・通信 | アメリカ |
2 | サウジアラムコ |
1兆8,437億9,100万ドル |
エネルギー | サウジアラビア |
3 | マイクロソフト |
1兆6,922億1,800万ドル |
IT・通信 | アメリカ |
4 | アマゾン・ドット・コム |
1兆6,623億8,00万ドル |
サービス | アメリカ |
5 | アルファベット |
1兆1,926億1,100万ドル |
IT・通信 | アメリカ |
6 | フェイスブック |
8,362億1,900万ドル |
サービス | アメリカ |
7 | アリババ・グループ・ホールディング |
7,816億5,400万ドル |
IT・通信 | 中国 |
8 | テンセント・ホールディングス |
7,572億1,800万ドル |
IT・通信 | 中国 |
9 | P&G |
5,742億3,800万ドル |
一般消費財 | アメリカ |
10 | バークシャー・ハサウェイ |
4,929億9,900万ドル |
金融 | アメリカ |
11 | ウォルマート |
4,131億1,200万ドル |
サービス | アメリカ |
12 | 台湾積体電路製造 |
4,103億2,100万ドル |
半導体 | 台湾 |
13 | テスラ |
4,075億9,300万ドル |
一般消費財 | アメリカ |
14 | ビザ |
3,921億7,700万ドル |
工業 | アメリカ |
15 | ジョンソン&ジョンソン |
3,744億2,600万ドル |
医療関連 | アメリカ |
16 | サムスン・エレクトロニクス |
3,637億4,100万ドル |
IT・通信 | 韓国 |
17 | エヌビディア |
3,593億9,000万ドル |
IT・通信 | アメリカ |
18 | ネスレ |
3,378億300万ドル |
一般消費財 | スイス |
19 | ユナイテッドヘルス・グループ |
3,297億4,000万ドル |
金融 | アメリカ |
20 | 貴州茅台酒 |
3,233億3,100万ドル |
一般消費財 | 中国 |
(49) | トヨタ自動車 |
1,862億4,000万ドル |
一般消費財 | 日本 |
(2020年11月時点)
世界ランキングでは、20社中13社を米国企業が占めています。いずれもよく名前を聞く企業で、日頃から商品やサービスを利用する機会も多いのではないでしょうか。まさにグローバルで活躍し、支持されている企業が並んでいます。
日本企業ではトヨタ自動車がようやく49位にランクインしています。1985年のランキングでは上位10社に住友銀行、三菱銀行や東京電力が、1999年にはNTTドコモとNTTがランクインしていましたが、近年は米国企業の強さが際立っています。
また、中国企業の勢いにも注目で、近年はアリババ・グループ・ホールディングやテンセント・ホールディングスなどのIT産業がランクインするようになりました。アメリカと中国は自国経済の規模が巨大なため時価総額が大きくなりやすい特徴があるとはいえ、アメリカと中国のIT産業の成長性は目をみはるものがあり、関心を持って見ていれば「次なるアップル」や「未来のマイクロソフト」にいち早く投資できるかもしれません。