昔は「女性の幸せは、いい人と出会い、結婚・出産し家庭を持つことである」と言われていました。
現代になりようやく生き方の多様化が浸透し、幸せはそれぞれであるという意識が人々に芽生えてきましたが、今でも少し上の世代の方にはこのような意識を持っている人が多く見られます。
もちろん、結婚や出産は幸せなライフイベントです。ですが、人の幸せはその限りではありません。
今回は女性のライフイベントに絡めて、『精神的に自立すること』の大切さを考えていきます。
「結婚・出産すれば幸せになれる」ではない
「結婚(出産)すれば必ず幸せになれる」という保証はどこにもないのですが、なぜか「結婚(出産)で人生が変わる」と夢をみて疑わない人が時々います。
いい関係の相手がいればそれも納得ですが、問題はそうでない場合。例えば、反りが合わないパートナーに「結婚すれば彼は変わってくれる」と期待したり、ぼんやりと「結婚(出産)すれば必ず幸せになれる」と考える…これは、あまり好ましくありません。なぜならこの思考は、ライフイベントに気持ちが依存している状態だからです。
ライフイベントに気持ちが依存するー…誤解のないようお伝えしたいのですが、これは結婚を機に家庭に入る女性が悪いというわけではなく、「結婚(出産)が自分を幸せにしてくれる」=「自分が幸せになれないのはこれらに縁がないから」と思い込むのが問題…つまり、自分の幸せが外的要因に左右されている状態が好ましくないのです。
今、20代〜30代の女性は、女性のライフスタイルが多様化し価値観も多様化する、激動の時代を生きています。つい数十年前までは、冒頭の「女性の幸せは、いい人と出会い、結婚・出産し家庭を持つことである」という価値観がメジャーで、成長の過程で家族や周囲の人、メディアから『結婚(出産)=女性の幸せ』と刷り込まれてきました。
確かに結婚(出産)はおめでたいライフイベントですが、それを経験しないと女性として幸せになれないというのは大きな間違い。
自分に自信がない人は『幸せ』の定義が曖昧で、他人が言う『幸せ』を自分の価値観と錯覚してしまいます。自分の幸せが他人に左右されている…つまり、自分以外の人やモノ・コトに気持ちが依存している状態です。この場合、他人が自分の幸せをジャッジすると無意識に認識しているので、人の目が過剰に気になるという精神状態に陥ります。
では、なぜ自分に自信が持てなくなってしまうのでしょうか?
要因として、生活の過程で否定的な扱いを受けたり、抑圧されたりというバックグラウンドがきっかけになっていることも多いです。
ですがそれを、「高圧的な親のせい」「家庭環境が悪かったから」「あの時いじめられたから」と、過去のせいにしていては責任転嫁のループから永遠に抜け出せません。
人が提唱する『幸せ』のレールに乗ろうと必死になっている場合は、「本当に自分にとっての幸せを理解しているのか?」「自分はうまくいかないことを何かのせいにしていないか?」を、考えてみても良いかもしれません。
精神的な自立が現代女性のキーワード
現代の女性は、様々な可能性を模索することができるようになりました。
もはや女性の居場所は家庭に限定されるものではありません。
多様化する価値観やライフスタイルは、もはや当たり前になっています。
それでもなお、結婚や出産を「しなければならないもの」と捉えている人は、精神的な自立ができていないばかりか、価値観のアップデートが追いついていない可能性があります。
精神的な自立と多様な価値観への受容は、密接な関係にあります。
受け入れる心があれば、様々な価値観に触れ、幸せの形が様々であると気付くことができます。加えて他者理解の力があれば、様々な可能性を考えることができるため、そう簡単に感情を煽られたり気持ちが揺らいだりしません。
例えば「結婚(出産)しないの?」と聞いてきた人に対しても、
・話題を振ろうとしているのかな。
・いい人を紹介しようとしているのかな。
・自分がこの話題について、話したいことがあるのかな。
など、色々な想像ができます。
一方で、価値観に偏りがあるとどうでしょう。何か一つを『幸せ』の形と決めつけてしまっては、もしそれに当てはまらなかった場合、また人の目を気にして自信を喪失してしまいます。上記の場合も「私のことを不幸な人間だと思っているに違いない」と、簡単に気持ちが煽られてしまうでしょう。精神的な自立には程遠いと言えます。
責任転嫁は自分の中に理由を見つけなくて良いので、ある意味、楽な考え方です。しかし、考えることを放棄してしまっては、『精神的な自立』という、その先の成長はありません。
人の目を気にして自分の人生を生きていたら、キリがありません。まずは自信を持つことから始めましょう。(自信をつける方法については、後述します。)
また、人々の生き方が多様化しているのに合わせ、幸せについての考え方も柔軟になる必要があります。