みなさんは、「ダイバーシティ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
女性の活躍を指し示す言葉だと捉えられがちなダイバーシティ。
しかし、実際にはその限りではありません。
ダイバーシティの元々の言葉の由来や、どのような場面で使われるのかなどを見てみましょう。
ダイバーシティとは、何?
ダイバーシティ(diversity)とは、英語で「多様性」を指す言葉です。
もともとアメリカでマイノリティや女性の積極的な採用、差別のない処遇を実現するために広がった考え方でした。
その概念が広がりを見せ“多様な働き方”を受容する考え方として使われるようになっていきました。
参考:コトバンク
経済産業省は、「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することでイノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」のことをダイバーシティ経営と掲げています。
・国籍
・職歴
・宗教、信仰
・年齢
・性別(性的指向、性自認含む)
・価値観
・ライフスタイル
・障害の有無
上記に挙げた要素によって労働が制限されてはならない、そして多様な人材が活躍できる場が必要ということに、今、多くの人たちがようやく気付き始めています。
経済産業省は、ダイバーシティが企業価値向上にもたらす主な効果(成果)として、以下の4つを掲げています。
①グローバルな人材獲得力の強化
②リスク管理能力の向上
③取締役会の監督機能の向上
④イノベーション創出の促進
上記は企業レベルに関する内容ですが、日本全体で見た場合、経済の底上げや人手不足の解消・そして国民一人一人の活躍機会創出など、様々な効果が期待できると考えられています。
参考:経済産業省 新・ダイバーシティ経営企業100選 100選プライム
「ダイバーシティ=女性の活躍」だけではない!
上記の通り、ダイバーシティとは様々な要素の多様性を指すため、何か一つの差別意識撤廃に限定された言葉ではありません。
しかし、一部では「ダイバーシティ=女性の活躍」を指す言葉だと認識されていることもあります。
もちろん、女性の活躍を含む言葉なのですが、その限りではありません。
では、実際にどのような例があるのでしょうか?いくつかの事例を見てみましょう。
事例1:都内のIT企業。2012年、社内で『ダイバーシティ推進課』を設置。女性が活躍できる環境を目指し、2018年度末までに女性ライン管理職を100 名に増やすという全社目標を経営戦略に掲げ経営層を含めた全社的な意識改革(セミナー実施など)と計画的な登用に尽力。その結果女性管理職は2018年12月時点で82名に達した。他にも、シニア層が活躍できるよう2018年に「シニア正社員制度」を制定。個人のスキルと成果で正当に評価し、報酬も現役時代と同等の額を支給できる仕組みとした。これにより、シニア社員の能力を最大限引き出すと共に、意欲向上・継続的な活躍に繋がり、現在 200名を超える社員が「シニア正社員制度」を活用している。どちらも「育児や介護がある女性に、管理職は無理」「IT業界でシニアは活躍できない」という固定概念を疑うところから始め、取り組んだ結果である。
(SCSK株式会社/東京都)
事例2:都内の小売業。2014年に中期経営計画に経営戦略として「多様性推進」を記載、「人事部多様性推進課」を設立。女性の管理職就任・育休からのフルタイム復帰・男性の育休取得率向上への意識改革や風土づくりはもちろん、配偶者向けの人事制度を見直し、同性パートナー婚にも適用を拡大するなどしている。また、これら社内の「ワーキング・インクルージョン」を元に、来店するお客様全ての多様性を意識した「お客様のダイバーシティ&インクルージョン」を掲げ店舗づくりを推進。体格や障害の有無、年齢、性別など様々なお客様全てが快適にショッピングを楽しめるよう、店内を整備したり商品を充実させたりと取り組みを進め、業績も右肩上がりに伸びている。
(株式会社丸井グループ/東京都)
上記2社は、このような取り組みにより、平成30年度の100選プライム企業に選定され、受賞をしています。
参考:経済産業省 新・ダイバーシティ経営企業100選 100選プライム
「女性の活躍」というイメージが強いダイバーシティですが、それにとどまらず、シニアや障害の有無、他にも思想など、さまざまな多様性を含みます。
ダイバーシティに関する取り組みは、各企業が工夫して色々と進めています。