5.放置せずに早めに動物病院へ行くことも大事

人間と違い、猫の便秘の原因はどれも甘く見てはいけないものばかり。多くの場合、何かしらの病気が関連しています。

便秘から疑われる病気

猫の便秘に隠れた病気の一部を紹介します。

排便痛

肛門の一部が切れて出血したことなどにより引き起こされる痛み。肛門腺が炎症を起こし“肛門腺炎”になった場合にも、排便時に痛みを感じることから、痛みを避け便秘になることがあります。

脱水

腎臓病、糖尿病、甲状腺機能亢進症などの影響で脱水となり、水分不足のため便秘になることもあります。

狭窄

直腸に腫瘍やポリープができたり、骨盤が骨折したりしたために、便が通過できなくなり便秘になった状態です。
→ひどい便秘が慢性化してしまった場合、大腸が伸びて巨大化する“巨大結腸症”を引き起こしてしまうこともあるので、注意が必要です。

動物病院を受診する目安

  • 食欲がなく元気がない
  • 慢性的に便秘
  • 嘔吐や下痢を起こしている
  • うんちに血が混ざっている

などの症状が見られたら、病気の可能性があります。これらの症状に当てはまらなくとも、3日以上うんちが出ていなければ、動物病院の受診を検討してください。
特に飼い猫が高齢の場合には、大腸癌や腎臓病などの可能性もあります。

6.動物病院での治療法は?

【獣医師監修】猫が便秘になった時の症状は?原因や対処法を徹底解説
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)

■投薬

動物病院を受診すると、まずはじめに触診やレントゲンなどで便の量や消化器官に異常がないかどうかを検査します。
その結果を元に、便秘の原因となっている病気に対して治療が行われますが、特に原因となる病気がない突発性の便秘の場合には、療養食の指導を受ける他、整腸剤、便を柔らかくする薬などの投薬、浣腸などの処置が行われます。

■摘便(てきべん)

療養食や投薬、浣腸などを行っても、自力で便を出せなかったときに行う処置のひとつです。獣医師が肛門から直接手をいれて、便を掻き出します。
ただし、腸の壁を傷つけてしまったり、腸が破れたりする危険性のある処置のため、猫が動くことのないように麻酔をかけて行うこともあります。

■手術

前述した“巨大結腸症”などを起こしている場合には、手術を検討することもあります。
手術にて、伸びた大腸を切除し、短くする処置を行います。リスクとしては、手術の合併症として、慢性的な下痢になってしまうことがあります。
また、事故による骨折などで、骨盤が狭くなっていたり、歪んでいたりする場合には、便が通るようにするために、骨盤を広げる手術を行うこともあります。

7.便秘を甘く見ないで!家での処置は絶対にNGな理由

【獣医師監修】猫が便秘になった時の症状は?原因や対処法を徹底解説
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)

サプリメントで解決はNG

飼い猫の便秘に気づいた場合、安易に市販のサプリメントや便秘薬などで解決しようとするのは避けましょう。病気の早期発見、早期治療が遅れる原因となります。
まずは動物病院で獣医師に相談し、便秘の原因を知るのが、便秘改善の近道です。

家庭で浣腸は命にかかわる危険性アリ

また、獣医師に指示を受けた場合を除き、肛門に綿棒を入れる、自力で浣腸するなどの処置も厳禁です。

人間と同じ感覚で安易に行うと、吐糞をしたり、体温が急激に変化したり、腸が破れて死亡したりと、命にかかわる危険があります。赤ちゃん用の浣腸ふくめ、人間用の浣腸は愛猫に重篤な副作用を引き起こすケースがあります。

飼い猫の異変を感じたら、まずは動物病院を受診し、獣医師に相談しましょう。その上で、獣医師の指導のもと自宅での浣腸を行う場合もあります。

8.猫が便秘の時に与える餌は何が良い?

【獣医師監修】猫が便秘になった時の症状は?原因や対処法を徹底解説
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)

獣医師に相談しながら、原因別に以下のようなフードを与えるのが良いとされています。

【水分不足】ウェットフード

工夫しても飼い猫がなかなか水を飲まず、水分不足のために便秘を引き起こしている場合には水分量の多いフードやおやつを活用するのがおすすめです。
普段ドライフードを与えているなら、ウェットフードに変えてみたり、ドライフードに鶏のだし汁などをかけてふやかして食べさせたりするのも良いでしょう。

対して、フードにオリーブオイルをかけるなどは避けましょう。一時的に便が柔らかくなるかもしれませんが、脂で便が緩くなっているにすぎません。栄養バランス的な観点からも、肥満の原因となるためおすすめできません。

【腸の動きが弱っているなら】食物繊維が豊富なフード

食物繊維が豊富に含まれたフードに変えてみるのもおすすめです。食物繊維は腸に刺激を与え、消化した食べ物を体外へ排出させる運動を活発化させる作用があります。飲みこんでしまった毛玉も一緒に外へ排泄されやすくなるので、おすすめです。

改善が乏しい場合は獣医師の指導の元、便秘対策用の療養食などを検討しましょう。どちらにせよ指導が必要となりますが、動物病院で処方されるものと、市販で購入できるものがあります。

9.まとめ

人間におきかえると「たかが便秘」と軽く考えてしまうかもしれませんが、猫の場合には、その多くに原因となる病気があるので注意が必要です。逆に異変にすぐ気づくことで、病気の早期発見、早期治療ができるので、普段から飼い猫のうんちの状態、頻度の他、下腹部に固いゴリゴリがないかなど、スキンシップを通じて気にかけるようにしてあげてください。

そもそも、もともと野生の動物だった猫は、自分が弱っているときに、本能的にそれを悟らせないようにしようと隠してしまう傾向があります。
だからこそ、一見元気そう、いつもと変わりなさそうという場合にも、3日以上飼い猫がうんちをしない場合には、動物病院の受診を検討してください。

この記事が、愛猫との幸せな日々を、より永く、健やかにつないでいくヒントとなれば幸いです。


提供・犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)

【こちらの記事も読まれています】
犬が吐く理由は?犬の嘔吐の原因や対処法、子犬の嘔吐について獣医師が解説
【獣医師監修】「猫が撫でられるとうれしいポイントと絆を深めるコミュニケーション術」
犬の咳、くしゃみ、鼻水の原因とは?考えられる病気と対処法を獣医師が解説!
猫に好かれる人・嫌われる人の行動や特徴とは?
犬同士が仲良しの時に見せる行動・サインって何?