散らかった実家。親に片付けてもらうためには
また、物で溢れ返りがちな実家の片付けも、無視できない問題だ。実家片づけ整理協会の代表理事、渡部亜矢氏にコツを聞いた。
「まずは『転びやすいし、危ないから片付けて』などストレートに言わないことです。高齢者は世代的に物を大事にする人が多く『捨てたくない』と断られるのが関の山。介護を理由に勝手に片付けるのもトラブルの原因になるのでやめましょう」
では、具体的にはどのように説得すればいいのだろうか。
「最初はテレビ回りやキッチンなど、目につきやすい場所から少しずつ整理します。ご両親に自宅を片付けたビフォー/アフターを意識してもらい、『片付ければスッキリする』という意識を持ってもらうんです。すると、次第に片付けに前向きになってくれます。また、『孫と泊まりに行く』や『エアコンのクリーニングで業者が来る』と、第三者が家に来ることを想像してもらうのも有効ですね」
また、どうしても片付けに非協力的な親の場合、最低でも寝室からトイレまでの動線だけは片付けておいたほうがいいという。
「そのルートが最も転んで骨折しやすいからです。『地震や停電の時に転ぶと危ないから』と、何か理由を話して整理しておいたほうがいいです。あとは自分の子供部屋が残っている場合、そこにある荷物を処分するのも手です。まずはどこか1か所でもいいので物を片付け始めること。小さな変化から始めていってください」
実家が荒れ果てる前に動こう。
やっておくと超ラクになる「介護脱毛」
介護に備え、アンダーヘアを脱毛する「介護脱毛」を親に促すのも事前準備として有効だ。「私のクリニックでも、女性を中心に介護脱毛する40~60代の人は3年で6倍強に増えています」と語るのは、美容皮膚科医の慶田朋子氏(銀座ケイスキンクリニック院長)だ。介護脱毛のメリットとは?
「介護状態ではお風呂も制限され、おむつ生活を余儀なくされます。そうなると便や尿、汗や皮脂など、アンダーヘアにはさまざまな汚れがこびりつく。汚れが毛に付着したまま放置すると、臭いやおむつかぶれ、感染症の原因となり、病変にも気づきにくくなってしまう。ご高齢だと脱毛に抵抗のある人も多いと思いますが、脱毛して清潔に保つことは、介護者の負担軽減だけでなく、被介護者のトラブル回避にも繋がると説得してみるしかないでしょう」
介護する側にもされる側にも大きなメリットがあるのは間違いない。では、介護脱毛に際して注意すべき点はなにか?
「アンダーヘア脱毛は白髪には反応しないので、まだ黒い陰毛が残っている70代前半までに行ってください。また、脱毛サロンでは衛生面の管理が不行き届きな場合があり、脱毛治療で感染症に罹った事例も。介護脱毛はそれなりにお金がかかる処置ですが、安全のためにも必ず医療機関を受診してください」
いずれ来る介護を見据えた介護脱毛も、検討してみたい。
【ウェブライター ヨッピー氏】
ツイッターのフォロワー数が15万人を超える人気ライター。「オモコロ」「SPOT」など多くのウェブメディアで活躍中。ブログはコチラ
【実家片づけアドバイザー 渡部亜矢氏】
一般社団法人実家片づけ整理協会代表理事。『カツオが磯野家を片づける日~後悔しない親の家片づけ入門』(SBクリエイティブ)など著書多数
【美容皮膚科医 慶田朋子氏】
銀座ケイスキンクリニック院長。介護施設に隣接した医院での勤務経験もあり、現場の視点から介護脱毛の重要性を説いている
<取材・文/週刊SPA!編集部>