リアリティー番組への出演をきっかけに、同世代を中心に注目を浴びたフィットネストレーナー、パルクールアーティストの田辺莉咲子さん。
現在はトレーナーとして活動する傍ら、スポーツバラエティー番組『スポテイナーJAPAN』(テレビ朝日)などにも出演している。
幼い頃からスポーツが大好きだったという田辺さんだが、実は「低身長」というコンプレックスを抱えながら、体と向き合う仕事を続けてきた。
また、今回のコロナ禍では“仕事の激減”も経験。さまざまな逆境が立ちはだかる中で、かねてからの夢だった自身初の著書『RISAKO’s RULE』(宝島社)の出版を叶えた。
なぜ、コンプレックスや逆境に負けず、折れない自分でいられるのか――。そう問い掛けると、天真爛漫な彼女らしい元気いっぱいの答えが、返ってきた。
身長147㎝。低身長コンプレックスが生んだ独自トレーニング
――バレエやパルクール(※)の要素を取り入れたユニークなトレーニングを実践されていますよね。そもそも、田辺さんが運動を始めたのはいつ頃だったのですか?
子どもの頃からですね。小学校1年生からバトントワリングという競技を始めて、高校2年生までの約11年間、毎日欠かさず練習してきました。
バトントワリングでは体を“動かす”ための筋肉が重要ですが、部活を引退してからは、美しく“見せる”ための体づくりにシフト。ボディーデザインのトレーニングに、どんどんのめり込んでいきました。
(※)パルクールとは、走る・跳ぶ・登るといった移動に重点を置く動作を通じて、心身を鍛えるスポーツ。移動術、トレーニングメソッド、パフォーマンス、アート、ライフスタイルや哲学など パルクールの捉え方は多岐にわたる
――それから、現在のようなユニークなボディメイクの手法ができていったわけですね。
はい。昔は食べないダイエットや、重い器具を持って部位別に鍛えるボディメイクの手法が流行っていて、私もやってみましたが、それは全然続きませんでした。
だから、人がやっていることをマネするよりも、自分に合ったものを探すことの方がずっと楽しいなと思って。自分なりに試行錯誤していくうちに、「バレエ×パルクール」の要素を織り交ぜたトレーニング方法に行き着きました。
――田辺さんには、「こんな体になりたい」と思うような、目標とする人はいますか?
特定の誰かはいないですね。というのも、私、身長が147cmしかないんですよ。以前は、低身長であることがとにかくコンプレックスでした。
みんなが憧れるような、すらっと背が高くて脚が長い人を真似しようにも、どうにもバランスが悪くなってしまうので、ないものねだりはいさぎよく諦めました。
――そこで、ご自身の体に合った「ちょうどいいバランス」を見つけよう、と。
はい。そのために、トレーニングの方法は本当に試行錯誤しましたね。低身長でもかっこよく、かわいく見せる体について、いろいろ考えて。
自分の体ととことん向き合った自負があるから自信を持って世の中に発信できるし、今では自分の体に自信を持てるんです。
批判の声さえも、“負けん気”で乗り越える
――コンプレックスを、受け入れられたのはなぜだったのでしょうか?
そうですね、自分にだんだんと自信がついていったからだと思うんですよね。あとは負けん気というか……。
――負けん気ですか?
テレビ番組に出るようになってから、「ボディメイクトレーナーなのに身長が低い」とか「足が短い」とか、容姿についてSNSで批判的なコメントをされることが増えました。
で、そういう時に「そんなに言うなら、私が『低身長でもかっこいい』っていう流行を絶対つくってやる!」って思いまして(笑)
――でも、傷ついてもいるわけですよね?
それはもちろん。うれしいことではないですからね。
ただ、私の容姿について批判的なことを言う人もいる一方で、「すごく共感する」「大好き、応援しています」という好意的なコメントを寄せてくださる方もたくさんいます。
いただいたメッセージにすごく励まされると同時に、私みたいに低身長で悩んでいる人、コンプレックスを抱えている人がいっぱいいることも実感して、そういう人たちにもっと自信をもってもらいたいなと思うんですよね。
――“小さくてもかっこいい”という価値観、もっと広まっていくといいですよね。
はい。今、『スポテイナーJAPAN』という番組(※スポーツ+エンターテイナー=次世代スポテイナーの発掘を目指し、エントリー者が競い合う様子を追うテレビ番組)に出ているのですが、そこでは身長や体重関係なく同じ条件で競うんです。
体格が違う人と戦っているのを見て、勇気をもらえましたという声をたくさんいただきますが、それもすごくうれしいですね。「低身長でも1位をとってやる!」っていつも燃えています(笑)