eスポーツには功も罪もある

「ゲームに向きあえば向きあうほど、教育の問題に突き当たります。スポーツなら『心身の発達にいい』といったイメージがあります。でもeスポーツは『外に出ない』『肥満になる』『言葉遣いが悪くなる』といったよくないイメージがついています。ゲームに没頭するお子さんをお持ちのかたからは『ゲームなんかしないでもっと学校に行って欲しい』『もっと勉強をして欲しい』という声が聞かれます。 スポーツに没頭していても批判されることは少ないのに、eスポーツだと反対されてしまう。ゲームをすることで、おろそかになると思われることを払拭できないと、老若男女に受け入れられるようにはならないと考えています」(竹谷)

プロゲーマーの“差別発言”はなぜ起きる?業界の問題をきく
(画像=『女子SPA!』より引用)

eスポーツの国際大会はものすごい規模(本文とは直接関係ありません。 Intel Extreme Masters 2019© Michaldziedziak)

冷静に考えればわかることだが、スポーツなら誰にとっても心身の発達によいというわけでもない。筆者はテニスで留学するほど没頭した経験があるが、故障や腰痛の原因となっており、果たして100%健康にいいのかというと微妙なところだ。またテニスをする人全員がマナーがよくスポーツマン精神を持っているかというと、もちろんそんなことはない。

「どんなものにも功罪はあります。eスポーツを100%擁護する声もよく聞きますが、害が全くないとは思いません。でも害ばかりが注目されるのは公平ではない。なんでも、いいところもあれば、悪いところもあります。それに、何をしても学ぶ人はいるし、学ばない人もいる。eスポーツだから悪いとかいいとかではないんです」(竹谷)

対面大会で、相手へのリスペクトを

2021年11月にデポルターレが開催した大会では、ゲストを招いて「教育×医療×ゲーム」と題してトークセッションが行われた。ゲームに没頭する不登校生徒の体験や、医学としてのゲーム依存の定義などが話し合われた。聴講していた保護者のかたたちの真剣な眼差しや必死にメモを取る姿勢が印象的だった。

「eスポーツ大会は、オンラインで開催されることも少なくないのですが、デポルターレでは対面での大会にこだわっています。リアルにやり取りをして相手選手へのリスペクトを持つことも大切ですし、試合の前後にあいさつをするなどのマナーも勧めていきたい。 それにオンラインだと同じ趣味興味の持つ人の目にしか入りません。リアル開催してオープンにすることで多くの人に知ってもらえば受け入れられやすくなるでしょう。保護者のかたにも大会を見て知ってもらういい機会だと思うんです」(山田)