2019年から国体の種目にもなったeスポーツ(コンピュータゲーム)。 よしもとがeスポーツプロチームをつくったり、世界大会が開催されたり、2021年には男子中学生の将来なりたい職業2位にランクインしたり(1位はYouTuberなどの動画投稿者)と、急成長の注目分野だ。
「ゲーマーはろくでもない」のか?
一方で、eスポーツ選手の失言がしばしば話題になる。2022年2月には、女性プロゲーマーが「(男性は身長)170cmないと人権ないんで」などと発言し大炎上。その後の対応も問題となり、所属チームから契約を解除された。
5月2日には人気プロ選手のSaRa氏(20)が、他選手のゲーム配信中に「なんでそこでクリアリングすんの? 障害者やろマジで」と発言し、翌日には所属事務所が12月末までの活動停止処分を発表した。
なぜこのような問題が頻発するのだろう。こうなると「eスポーツ選手はマナーも常識もなっていない未熟な人たちだ」という印象になるのも無理はない。業界の人たちはどう考えているのか。eスポーツ大会を運営する株式会社DEPORTAR(デポルターレ)代表の山田浩徳氏と取締役の竹谷彰人氏に話を聞いた。
ちゃんと指導はしていたはずだが…
竹谷氏は「社会生活を営むにあたり、誰かを不快にする言動を取らないことは、eスポーツに限らず当たり前のマナーです」と言い切る。
山田氏は業界の問題点をこう語る。 「プロのスポーツ選手なら、明確にプロとアマの差があります。実力も違いますし、選手登録などが必要な場合も多いでしょう。でもeスポーツは東京でトップリーグにいればプロなのか、1円でも収入があればプロなのか。その定義が曖昧なんです。プロ選手としての意識が欠如している人もいると思います」
ふたりとも、炎上した失言に対して厳しい意見だ。eスポーツ選手の肩書きに登録も必要なく「自称」でいいなら、無法地帯だ。失言が連発するのも無理はない。ところが実際はそこまで無秩序でもないという。
「今回、SaRa選手が登録していたeスポーツチームを運営している株式会社REJECTは、eスポーツ界ではかなりの大手です。過去に資金調達を何度かしていて、高額の出資を受けています。当然、スポンサーに対する責任もありますから、選手の指導はしっかりしていたはずです」(山田氏)