アパレル販売員経験者アドバイザー座談会、後編のテーマは、アパレルからの異業種転職について。年齢を重ねても働き続けられる環境があったにも関わらず、3人が20代で「脱・アパレル」したきっかけは?販売経験を活かした転職のコツについても聞いてみました。

昇給、昇進、長期的なキャリア構築の難しさ

― みなさん年齢が上がっても仕事を続けていけるような環境だったんですよね。それでも20代で「脱・アパレル」した理由は何ですか?

伊藤:理由はいくつかありますが、きっかけのひとつは上司に言われた「上に行く気あるの?」という言葉。僕は売上はもちろん大切にしていたんですが、店舗環境の整備やスタッフ教育、VMDなどにも注力していて、いろんな側面から店舗を盛り上げようと考えていました。でも、そこは評価には繋がらず、とにかく数字が全てだと言われて。

松井:私は逆に数字が評価されないのがもどかしかった。自分で言うのもなんですが、かなり売る販売員だったんですよ、私。でも、給与には全然反映されなくて、昇進も叶わない状況でした。

榎本:私の場合は給与面での不安が大きかったです。働き始めてまだ3年しか経っていないのに、別業種にいる大学の同期との年収差が開いていくことに焦りを感じていました。

販売職から先のキャリアを考えて

販売職からの転職は難しい?私たちが、20代で「脱・アパレル」した理由【後編】
(画像=女性の長期的なキャリア形成が難しい環境も、『転職の地図』より引用)

― 榎本さんは早い段階で副店長に昇進してますよね?

榎本:はい。入社後1年足らずで副店長になれたのはよかったんですが、仕事量と責任が増えても給料は全く変わらなくて。

松井:私は6年いたけれど副店長止まり。それも、最後の1年でようやく昇進できました。単純に上が詰まっていて、ポストに空きがなかったんですよね。

榎本:店長になったとしても、販売から先のキャリアパスが描きにくいとも感じていました。本社勤務は男性社員ばかりだったので。

― レディースブランドなのに、管理職は男性ばかりなんですか?

榎本:そうなんです。店舗に近いエリアマネージャー職も基本は男性。生産管理なども取引先との兼ね合いで男性しか担当できないという状況で、女性社員が長期的なキャリアを構築しにくい環境でした。

松井:私がいた会社は比較的女性が活躍してはいましたけど、同じく現場以外のポジションに関してはブラックボックス。どうやったら次のステップに進めるのかはまったくわかりませんでした。

伊藤:上が詰まってる、ということは、離職率が低い?

松井:辞める人は入社2~3年でバタバタっと辞めて、ある程度キャリアを積んだ役職者はずっと残っている、という状態でしたね。

販売員からの転職時期、30歳過ぎると難しい?

販売職からの転職は難しい?私たちが、20代で「脱・アパレル」した理由【後編】
(画像=転職活動は年齢が上がるほど難しくなるのが現実、『転職の地図』より引用)

― 転職を決めた時、同じくアパレル業界内での転職は考えませんでしたか?

榎本:同業の友達が多かったので他社の話もよく耳に入っていて。別の会社に移ってもそう大きく変わらないのかなと思いました。

松井:私も異業種チャレンジへの不安はなかったです。むしろアパレル業界だからこそ身につけられたスキルと、この6年の経験を活かして新天地で頑張るぞ!という期待値のほうが大きかった。会社からは退職を引き止められたけど、自分としては前向きなキャリアチェンジでしたね。

伊藤:僕は時代に後押しされて決断したところもあります。主にフォーマルアイテムを扱っていましたが、今はファッション全般がカジュアル傾向。今後もスーツの需要は減っていくだろうという懸念がありました。

― 「30歳になる前に転職!」という意識はあったのでしょうか。

榎本:フットワーク軽く動けるうちに!っていうのはありましたね。

松井:確かに、30過ぎてどんどん会社の居心地がよくなってくると、不満を抱えつつも転職がめんどくさくなりそうで(笑)

伊藤:結婚して家庭を持つと、転職のリスクも考えますしね。

松井:私は結婚してから転職したんですよ。独身だったとしても同じタイミングで辞めていたとは思うけど、確かに30代に入ってからの転職は、ライフイベントの影響を受けることもありますよね。

アパレル出身でよかった!販売経験者が評価されるスキルとは

販売職からの転職は難しい?私たちが、20代で「脱・アパレル」した理由【後編】
(画像=アパレルからの異業種転職、アピールポイントは多い!、『転職の地図』より引用)

― 転職後、アパレルでの経験が活かせたと感じていること、実際に評価されていることはありますか?

松井:接客業で培ってきたコミュニケーションスキルですね。正しい敬語が難なく使えて、言葉遣いが丁寧、人との距離感の掴み方が上手い、と褒められることが多いです。後は気配りとか、ホスピタリティについては自分でも自信を持っている部分かな。

榎本:私も同じく、対応が丁寧であると評価してもらえることが多いです。あと、アパレルの販売は即断即決、お客様にその場で買う決断をしていただく仕事でもありますから、スピード感が染みついていることも強みだと感じています。

伊藤:僕も言葉遣いや対人折衝能力、印象管理でしょうか。クレーム対応経験もあるので、トラブル解決能力も高いと思います。比較的若い時からマネジメントを任されるというアパレルならではの経験も活かせるかなと。

― アパレル販売は裁量が大きく業務内容が多岐に渡る分、得られるスキルも幅広いですよね。

榎本:はい、アパレル出身でよかったなと思います。転職活動を始める前は、自分が持っている強みに全く気づけなかったですけどね。