退職金制度のある企業に勤める人の中には、定年後に退職金がいくらもらえるのか、また老後資金がいくらほど必要かも気になっている人も多いでしょう。その一方で「第2の人生」をどのように生きるか、イメージしたことはあるでしょうか。この記事では退職金の平均額とあわせて、必要となる老後資金の試算方法、さらに退職後の起業という選択肢について考えてみましょう。
退職金はいくらもらえる?
厚生労働省が実施している「就労条件総合調査」によると、2018年現在、調査対象のうち退職給付制度がある企業は全体の80.5%で、従業員1,000人以上の企業では92.3%でした。
さらに、この調査の結果では、管理・事務・技術職で定年退職した大卒・大学院卒の従業員は平均して1,983万円の退職金を受け取っていることが分かりました。同様に、早期退職優遇制度を活用して退職した場合の退職金は2,326万円でした。
定年退職後の生活で必要なお金は?
定年後、仮に90歳まで生きるとして65歳で退職した場合の残りの人生は25年です。この数字をもとに老後にどの程度のお金が必要なのか計算してみましょう。
総務省の実施している家計調査(2019年)によれば、世帯主が65歳以上でかつ無職である2人以上の世帯の場合、1ヵ月の平均支出は約27万円です。また、平均的な収入で40年間働いた人の厚生年金と夫婦2人分の老齢基礎年金の受給額は月額で約22万円となっています(2020年4月からの受給額)。
従って、65歳以上の収入が年金だけの場合、月に5万円ほど不足する計算となります。つまり、65歳から90歳まで25年間の生活費(不足分)として5万円(月額)×12ヵ月×25年=1,500万円の老後資金が必要です。これは前出の退職給付額の平均よりも少ないので、退職金制度のある企業に勤めている人はひとまず安心と言えるでしょう。
第2の人生をどう過ごす?
老後資金を考える一方で、老後の長い時間においてどのように過ごすかも考えておきたいところです。25年とは言わないまでも、例えばリタイア後の10年間をどのように生きたいか考えたことはあるでしょうか。
社会的には60歳から65歳へと定年制度が実質的に延長され、将来的には70歳まで引き延ばされることになっています。しかし、引き続き働きたいと考えている人には、会社勤めを延長するのではなく、起業して新しいことに挑戦するという選択肢もあるでしょう。
ここからは、収入も得ながら自分のやりたい仕事に取り組む方法として「起業」という選択肢を考えてみましょう。
SaaS型クラウドサービスを開発・運営するfreee株式会社が2019年9月に発表した起業に関するアンケート調査(対象者は20~69歳の有識者男女900人)の結果、「既に起業している、もしくは起業に関心がある(あった)」と回答した人は、20代で39.5%、30代で42.4%、40代で37.4%、シニア層(50歳~69歳)が28.7%でした。
起業に対して20~40代では4割近い人が関心を持ち、シニア層でも4人に1人が関心を持っていることが分かります。