会津若松の白虎隊で有名な飯盛山にある「会津さざえ堂」。世界唯一の二重螺旋(らせん)構造のお堂になっており、【階段がない】【登りも下りも絶対に人とすれ違わない】という不思議な仕組みになっています。インパクトある、その名の通りさざえに似た外観も見どころで、重要文化財建築に登録されています。そんなさざえ堂の魅力と不思議に迫りましょう。
会津さざえ堂とは
「会津さざえ堂」は寛政8年(1796年)福島県会津若松市の飯盛山に建立された、高さ16.5m、六角三層の木造のお堂です。建物の形が貝のさざえに似ていることからさざえ堂と呼ばれていますが、正式名称は「円通三匝堂(えんつうさんそうどう)」といいます。
特徴【1】気軽に三十三観音巡りができた
会津さざえ堂は飯盛山にあった正宗寺(しょうそうじ)の住職であった郁堂(いくどう)が考案しました。かつて内部には西国三十三観音像が安置され、このお堂を巡るだけで三十三観音参りができると言われていました。
江戸時代、実際西国に出向いて三十三観音巡りをすることは一般の民衆にとって難しいことでした。気軽に三十三観音巡りができるこのお堂は、当時とても人気があったそうです。
特徴【2】不思議な二重螺旋構造
二重螺旋構造とは一体どんな構造かイメージできますか?お堂の中は階段でなくスロープになっていて、スロープをぐるりと回りながら上っていき、頂上まで行ったらまた下りのスロープがあります。一方通になっているので、お堂内では人とすれ違うことが絶対にありません。
たくさんの参拝者がスムーズに安全にお参りできることができ、当時はもちろんのこと、200年経った現代から見ても、とても画期的で合理的な造りとなっています。
1796年の建設以降その姿は変わっておらず、稀有で貴重な建築物として、1995年に国重要文化財に指定されました。
特徴【3】謎に包まれたさざえ堂
なぜ郁堂がこの稀な構造を発案することができたのか、実は明らかにはなっていません。夢を見てひらめいたと言われる説や、レオナルド・ダ・ヴィンチの「二重螺旋階段」の構想がフランスからはるばる日本に伝わったという説もあります。
いずれにしても海外に二重螺旋階段の建築物はありますが、スロープ状の建物は世界にただ一つ、この会津さざえ堂だけです。
実際に会津さざえ堂に入ってみよう
飯盛山へ
まずは長い階段の上り飯盛山へ。体力に自信のない方は、スロープコンベア(有料)もあるのでご安心ください。
後ろを振り返ると景色は抜群です。
独特な外観も見どころ
白虎隊のお墓より手前の左側にさざえ堂があります。
さざえ堂がある場所につくと、目の前に、なんとも不思議な形をした塔が現れます。確かにさざえに似ていますが、建物がねじれているような、傾いているかのような、複雑な造りになっているのがわかります。
初めて見る建築物に圧倒され、外観だけでも見る価値があります。そして中がどのような仕組みになっているのか期待が高まります。
二十螺旋構造を体験
まずはお堂の中へ
こちらで拝観料を納めます。入館料(大人400円/高校生300円/小中学生200円)です。
参拝後、早速お堂の中へ入りましょう。
入り口には本堂の考案者・郁堂和尚の木像が祭られています。
上りのスロープ
中はこのようなスロープになっており、時計回りに上っていきます。スロープと言えど角度は割と急で内側に少し傾いており、天井も低く、ちょっと平衡感覚が狂うような感覚です。
滑らないように細かく桟(さん)が渡してあります。
当時内部にあった三十三観音像は取り外され、一時は白虎隊士の霊像が置かれましたが、現在は「皇朝二十四孝」(会津藩の道徳の教科書)の絵額が設置されています。
どこまで続くのか、この先はどうなっているのかわからず、好奇心が勝り夢中で上っていきます。