仕事でミスをしてしまう。成長している実感がない。なんだか毎日が退屈……。転職という選択肢が身近になっている現代だからこそ、ふとした瞬間に「自分にとって今の仕事は向いているのか?」「転職した方が良いのではないか?」と考える人も多いでしょう。
ですが、いったん立ち止まってみましょう。
転職は劇的な変化ですが、その分大きな労力と時間がかかります。そしてリスクもはらんでいます。リスクとはつまり、「抱いていた疑問が転職しても変わらなかった」「抱えていた問題がかえって悪化した」など、ネガティブに状況が変化してしまうことです。
裏を返せば、正しく問題を捉えてみると、転職しない方が良い場合もあるのです。
まずは「仕事が向いていない」と感じる原因はどこにあるのか、掘り下げていくことが大切です。現在の状態を正しく捉え、不満やもやもやの原因を突き止める。それが、本当の解決策への近道になります。
ここでは2つの視点・5つのポイントから掘り下げてみましょう。
業務自体に問題がある
まずは、仕事そのものに問題を感じている場合です。ミスが続いたり、内容が覚えられなかったり、仕事に対するモチベーションや自信が失われている状態であることも多いです。
一方、まずは社内で働きかけることによって改善・解決が期待しやすい問題でもあります。
ポイント1. 業務内容が不向き
計算が不得手なのに経理に配属されてしまった。新規開拓営業を担当しているが、人見知りでうまく話せない。新しい企画提案が得意なのに、決まり切ったルーティンワークを重視する仕事を担当している……といった悩みです。
この場合は、「仕事のコツをつかめていない」「単に気持ちが乗らない」「本当に向いていない」のパターンに分けられるでしょう。
仕事のコツをつかめていない
仕事のコツをつかめていない場合、自分の苦手がどこにあるのかを細分化して考えてみることが大事です。優秀な先輩や同期に相談しながら、まずは自分用のマニュアルを作ってみましょう。
例えば、営業先でのアイスブレイクが苦手な場合、常にどこでも通じる話題を5パターンだけ用意しておく。相手の年代や、話好きなタイプか、ビジネスライクかなどで分類して、それに応じた話題をひとつ選んで出す……というような感じです。
自分自身がもつ本来の性格と全く異なっていても、コツや対処法を覚えてしまえば案外乗り切れてしまうことも多いものです。
仕事に気持ちが乗らない
この場合、転職で解決しようとするのは要注意です。なぜ気持ちが乗らないのか、果たしてそれは本当に業務に基づいた理由なのかを掘り下げてください。
「なんとなく向いていないと感じる」「自分がやりたい仕事じゃない」のみでは、転職先でも同じことを繰り返してしまう可能性が高いです。
特に「やりたい仕事」については要検討。「やりたい仕事」のみに携われている人はほんの一握りです。多くの人は、挫折や葛藤、不得手な業務をこなした上で「やりたい仕事」にようやく携われていることでしょう。99%の不得手な業務を乗り越えた先にある達成感のために仕事を続けている人も、少なくないはずです。
ぜひ、「自分が今取り組んでいる仕事は、いつか自分がやりたい仕事の役に立つはずだ」と捉えてみてください。経験が無駄になることはありません。
本当に向いていない
最後に、本当に適性がないと感じる場合。いろいろ対応策を試してみたけれど、やっぱりどうしても改善できない。考え方を変えても、モチベーションを上げることが難しい。そんな時は、まずは社内異動を申請してみましょう。
同じ社内でも全く違う仕事に携わることで、これまでの経験が活かせる可能性は十分あるでしょう。
ポイント2. 業務量が多い
ハードワークに悩んでいる方も、まずは問題レベルによって切り分けてみましょう。切り分け方の一例として、下記の5段階を挙げてみました。
- 自身の業務効率を改善することで解決できそう
- 直属の上長への相談で解決できそう
- 直属より上の上長への相談が必要
- 人事・総務など他部署への相談が必要
- 社風・組織体質的なもので改善が難しい
業務効率改善の場合は、時間の使い方を変える、依頼・分担できる体制をつくる、新しいツールを導入する、働く場所を変える(在宅勤務やテレワークへの切り替え)などが考えられます。
直属の上長への相談の場合は、現状共有の上、業務量そのものの削減を依頼しても良いでしょう。
それでも変わりそうにない場合は、さらに上の上長や、他部署に現状を伝えることも対処法の一つです。その際は、業務量が多いことでどのような問題が起きているのかも併せて相談すると、解決に動きやすくなります。
仕事の質が落ち、クレームが増えている。休日出勤や長時間労働で、自分を含めたメンバーが疲弊しているなど、個人の問題ではなく企業の問題として捉えてもらえるような伝え方をしてみましょう。
とはいえ、社風や組織体質などで改善が難しいこともあります。また、厳しい言い方にはなりますが、自分以外の社員にとっては業務過多に感じていないケースもあります。
その場合は、転職を視野に入れて動き出しても良いかもしれません。ただし、単純に業務量が多いことだけが原因なのか、仕事の適性が低い結果、業務量が多く感じられてしまったのかを見極めることが必要です。
ポイント3. 求められるレベルがミスマッチ
自分の能力より高いレベルを求められている、と感じることで苦しむパターンです。
まずは求められているレベルが「本来あるべきクオリティ」なのか、「ポテンシャルへの期待」なのか、「もともと無謀なレベルの要求」なのかを見極めましょう。
求められているレベル=本来あるべきクオリティの場合
この場合、会社はあなたに「高いレベルを求めている」とは捉えていません。言い換えれば、「当たり前のことを当たり前にこなしてほしい」という要求です。
そこにギャップがあるのであれば、自身の能力アップが必要です。一概に不向きと捉えず、業務過多の場合と同様に、まずは自分自身のやり方を見直すことで対応できることがないかを考えましょう。
対応が難しい場合は、「どのようなサポートがあれば達成できるか」という視点から、上司や周囲に相談すると良いでしょう。
求められているレベル=ポテンシャルへの期待の場合
この場合は、会社があなたの能力にさらなる伸びしろを感じているということです。裏を返せば、「この仕事に向いている人材」として捉えられているのです。
一言に能力といっても、仕事の方法、成果、周囲の巻き込み方など様々な要因があります。
自分のどこにポテンシャルを見出したのかを確認し、伸ばせる部分がないかを一度検討してみましょう。
ただし、上記2点については、個人の努力では埋められないギャップの場合もあります。
その際は、同僚や先輩の業務量ややり方、成果のクオリティをチェックしてみましょう。客観的な視点から、周囲のサポートが必要なのか、そもそも目標設定が高いのかを判断しましょう。
求められているレベル=もともと無謀なレベルの要求の場合
もともと無謀なレベルの要求である場合、それはハラスメントになりえます。
社内にコンプライアンス部門があれば報告しましょう。改善が期待されない場合は、転職で環境を変えることも考えるべきでしょう。
また、逆に「求められること、やれることは全てやり切ってしまった」と悩んでいる方もいるかもしれません。この場合も環境を変えることは有効です。
ただし、社内で新たなスキルを身につけていくこともできるので、転職以外にも社内異動を視野に入れてみてください。最強のオールラウンダー兼プロフェッショナルになれるかもしれませんよ!