将来に向けてそなえる方法の一つとして、個人年金保険があります。個人年金保険は支払った保険料に対して所得控除を受けられるため税金の軽減ができます。また、20代の若いうちに加入することで毎月の保険料を安く抑えられるメリットもあります。毎年の軽減額は少ないですが、長い目で見ると数十万円単位での税制優遇を受けることも可能です。ここでは、20代からコツコツと始められる資産形成の一つとしてご紹介します。

個人年金保険とは?

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老後資金をそなえるための商品は多数ありますが、その中でも税制優遇メリットを期待できるのが「個人年金保険」です。一定の年齢まで“保険料”としてお金を積み立て、保険の契約時に定めた年齢に達したあとは積立金を年金として受け取る仕組みです。

この個人年金保険に加入し、一定の条件を満たした保険料の支払いをすると、1年間の支払保険料に応じ、所得額が控除され所得税や住民税が軽減される制度が、「個人年金保険料控除」です。毎年の軽減額は大きい金額ではありませんが、長い目でみると数十万円単位の税金の軽減が可能となります。

個人年金保険料控除の対象になる条件

個人年金保険料控除の対象になる条件は主に4つあります。

  1. 年金受取人が契約者(保険料を支払う人)、もしくはその配偶者となっていること
  2. 年金受取人が被保険者であること
  3. 保険料の払込期間が10年以上であること(一時払は対象外)
  4. 年金種類が確定年金・有期年金の場合、年金受取開始日に被保険者の年齢が60歳以上かつ受取期間10年以上であること

支払った保険料が控除対象かどうかは、保険会社から送られてくる生命保険料控除証明書で確認ができます。保険会社から送付された生命保険料控除証明書は、年末調整や確定申告を行う際にも必要なので大切に保管しておきましょう。

生命保険や医療保険とは別枠

個人年金保険は、一般的な生命保険と医療保険・介護保険とは別枠で所得税の「所得控除」と住民税の「所得控除」が受けられるのもポイントです。「生命保険料」「個人年金保険料」「介護医療保険料」はいずれも、所得税の控除がそれぞれ最高4万円、あわせて12万円、住民税の控除がそれぞれ最高2万8,000円、あわせて7万円が限度です。

なお、平成23年12月31日以前に締結した保険契約と平成24年1月1日以後に締結した保険契約では、控除の取り扱いが異なるので注意しましょう。

20代から個人年金保険に入るメリット

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年金で受けとる際の返戻率が高くなる

個人年金保険は、20代の若いうちから加入する方が返戻率は高くなります。これは払込期間が長ければ長いほど、返戻率が高くなるからです。

一般的に20代で加入するのと40代で加入するのでは、支払う保険料が同じなら、年金受取総額は20代で加入する方が多く受け取ることができます。

保険料の負担を抑えられる

一般的に、保険の加入は若ければ若いほど保険料の負担は少なく済みます。これは個人年金保険も例外ではありません。

個人年金保険の受取は、基本的には60歳以降になります。そのため40代、50代と老後に近づくにつれて払込期間が短くなるため、同じ年金額を受け取るために必要な保険料は20代よりも高くなります。なるべく若いうちから年金保険に加入することにより、より負担の少ない保険料から始められると同時に、長く税制優遇を受けられるのがポイントです。

長い目で見ると税制優遇効果◎

個人年金保険は長期間保険料を支払うことで、税制優遇効果が期待できる保険です。1年でみると税金の軽減額は少ないかもしれませんが、老後までの40年近く払い続けることで、数十万円の税制優遇効果を期待できます。

個人年金保険だけでは老後のそなえとして十分とは言えませんが、途中で解約しないかぎりは、原則元本割れしないので、コツコツと安全確実に貯蓄をしたいという方向けの貯蓄方法です(ただし、変額の個人年金保険や、外貨建て個人年金保険は元本割れの可能性があります)。