動物病院に相談する。認定医による行動診療を受診する

嘔吐や下痢、血便など症状がひどい時や、パニックになり飼い主を咬む、攻撃するような場合は、速やかにかかりつけの動物病院で相談してください。可能なら専門家(認定医)の行動診療を受診することをおすすめします。

雷や花火の音CDなどで犬に聞かせて慣らす、犬にとって嬉しいことに関連づける、ことを目的に、最初は小さなボリュームから始めて、犬がおとなしくしていたらご褒美のおやつを与える、徐々にボリュームを上げて、同じようにご褒美のおやつを与える、といったことを繰り返し行う方法もあります。
しかし、その犬の性格や年齢、飼育環境の違い、症状などによっても対処は異なります。このような方法に取り組むにしても、飼い主さんだけでは困難です。動物病院で相談し、行動治療のプログラムとして行うことが大切です。行動治療では飼い主さんへのカウンセリングを通じて、その原因を探り、飼育環境の工夫や時には経口薬の投与などで症状の改善をはかります。すぐに状況が改善するわけではありません。飼い主さん自身で根気よく治療を継続する必要があります。

震えて怖がっている愛犬の様子をみることは飼い主もとても辛いことです。「この子は恐がりだから仕方がないわ…」と諦めずに、少しでも状況が改善できるよう、できることからやってみましょう。

○日本獣動物行動研究会では行動医療の認定医を紹介しています。参考にご覧ください。

日本獣医動物行動研究会
日本獣医動物行動研究会(Japanese Veterinary Society of Animal Behavior)は、犬猫を中心とした伴侶動物の問題行動を治療する「行動診療」を発展させ、臨床獣医師や一般の飼い主に動物行動学や問題行動の治療に関しての啓発活動を行うことを目的に、2000年に、行動診療に関心の高い獣医師を中心に発足した研究会です。
2013年より、獣医動物行動学(動物行動学および臨床行動学)に精通し、行動診療を行うために必要な専門知識と技術、十分な診療経験を有している獣医師を、行動診療科認定医として認定する制度を発足させ、2020年までに11名の認定医を認定しています。

幼齢の子犬なら、音や刺激に慣れさせる。子犬に社会化を

子犬の社会化期は、生後1~3ヵ月齢(3~12週齢)の時期で、飼い主以外の他の人や動物、様々な刺激に慣れるのに適しています。大事な社会化期に家の中で、飼い主さん以外の人や他の犬、猫など他の動物にも会わずにいると、外の世界が怖い物ばかりになってしまいます。
この社会の中で人と長く生きていくためには、この時期に色々な経験をつんでおくことが大切です。パピークラス(子犬の社会化を目的に子犬同士を遊ばせたり、飼い主さんへの指導を行ったりする飼い主さんを対象の飼い方教室)を開催している動物病院や施設があれば、ぜひ利用してください。飼い主さん以外の人にもできるだけ会う機会を作り、撫でてもらう、おやつを与えてもらうなどして、飼い主以外の人も「怖くないよ」と覚えてもらいましょう。“音”についても雷や花火の音だけでなく、車や電車の音、工事現場の音、電車や飛行機、自動車やオートバイ、クラクションなど、子犬の時期に慣れさせておき、「大きな音が聞こえても平気だよ、大丈夫だよ」と教えてあげましょう。

現在、新型コロナウイルス感染症の感染予防対策のため、パピークラスも、開催方法や回数の変更、参加者の制限などを行っているところがあります。また、犬連れでの外出や散歩時に、他の人や犬に会う機会、犬同士で一緒に遊ぶ機会なども減っているようです。コロナ禍のために、大切な子犬の時期の社会化が損なわれることのないように、かかりつけの動物病院で相談し、家庭内でもできる方法で工夫するようお願いします。

<他にも気をつけておきたいこと>

○散歩中に雷に遭遇してしまい、逃げ出そうとして首輪が抜けたり、リードが切れたりしないよう、時々チェックをしておきましょう。

○万一、迷子になっても、戻ってこられるようにマイクロチップや迷子札、鑑札の装着を。「うちのワンちゃんは大丈夫」と思っていても、万一の事態に備えてマイクロチップなど個体識別標識を装着しておくようにしましょう。

○花火大会の開催日をあらかじめ調べておきましょう 開催日をあらかじめ調べておき、その時は家の中に入れて、できるだけ音が聞こえないように窓を閉めておく、カーテンを閉めるなどの工夫をしておきましょう。もちろん、花火大会に犬連れで行くことは厳禁です。花火の音に驚いて、逃げ出してしまい、迷子になる犬が増えることから、注意を促す自治体もあります。

(雷・花火の音にご注意/福島県のホームページより)

4.今からできる!犬が雷を怖がらないための対策

  • ケージなどを活用し、安全だと認識できる場所を確保しておく。
  • 雷や花火の音CDなどを小さな音から犬に聞かせて慣らす。
  • 花火大会の開催日をあらかじめ調べておく。
  • しつけ教室や・動物病院に相談してみる。

5.最後に

あなたの愛犬が、雷や花火の音を怖がるようであれば、飼い主さん自身が飼育環境の整備や工夫で、少しでもその恐怖を取り除くようにしてあげてください。
雷や花火の音からできるだけ遠ざけることも必要です。まだ子犬の時期であるなら、様々な音にも慣れさせておくなど、社会化期のうちに色々な経験をさせるようにしましょう。パピークラス、しつけ教室の利用なども含め、雷や花火のシーズン(6~9月頃)が来る前に、準備と対策をお願いします。

雷や花火の音による恐怖から、飼い主さん自身を咬んでしまうような危害が及ぶ場合や、犬自身に危険が生じる可能性がある場合は、すぐに動物病院で相談してください。

現在、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策のため、人の医療機関、動物病院、ペットショップ、しつけ教室などを行っている施設も、入場の制限などの対応をしています。必ず事前に問い合わせをして、感染予防には十分に注意し、利用するようにしてください。


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