生きるのに一番大切なのは何だろう。こう自分に問いかけたくなる『74歳、ないのはお金だけ。あとは全部そろってる』(すばる舎)。著者は牧師のミツコさん。現在74歳、公営住宅でひとり暮らし、収入は月7万円の年金です。こう書くと、失礼ながらあまり明るいイメージは抱けません。でも本書をめくると、こちらまで心があたたかくなるのです。「幸せの98%は大変なこと」と語るミツコさんの人生論、ちょっとのぞいてみませんか。
ミツコさんという人
老後のひとり暮らし、というと、不安しかない、という人もいますよね。ミツコさんの生活費の内訳を本書から紹介しますと、「住居費 約6000円、社会保険料等 約4000円、水道光熱費(平均) 約8000円、通信費 約1万円、食費・雑費その他 約4万円」となっています。いかがですか。あれ、意外になんとかなるのかも、とホッとした人もいるのではないでしょうか。
ミツコさんいわく「お金がないことを嫌だなと思うのではなく、その状態を楽しんでしまいます」。ミツコさんは「花は、ごくたまに1本しか買いません。その1本の花が買えたとき、ものすごくうれしい」と語ります。私達の周囲には物があふれ、時々、ありがたみを忘れてしまいます。たくさん買う楽しみもありますが、吟味に吟味を重ねてとっておきの物をひとつ買う、そんな尊さを味わうのもいいですよね。
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