筆跡アナリストで心理カウンセラーの関由佳です。夫を病気で亡くして1年以上経ちましたが、今回は「夫と死別後の恋愛」についてつづってみたいと思います。
死別をしてからの恋愛というのはどういう感覚なのだろうか、ということは夫と出会うずっと前から密かに気になっていたテーマでした。有名人の方が配偶者を亡くしてから再婚したというニュースを聞いて「もう亡くなった人を忘れられたのだろうか?」と思ったこと、一度はあると思います。 結論として、実際に自分が経験してわかったのは、「亡き夫と新しい恋愛相手は全く別の存在」ということでした。
死別後の新しい価値観と、比例しない感情
夫を看取ってから最も大きく変わったのが、結婚観です。結婚したらまたパートナーが病気になったり、看取ったりすることがあるかもしれない、と思うと、「大切な人と生涯をともに生きる」ということ自体がとても怖いです。 でも人間、不思議なことに心と頭は同期できないようで、「魅力的だな」と思う人が現れてしまうと、失うのが怖いのに、愛されたいし愛したいと願ってしまうようで……。結果として、夫を亡くして半年後にある人と出会い、今恋愛関係を続けています。
恋愛を妨げる2つの壁
一般的に、死別後の恋愛や再婚はハードルが高いとされています。その理由として2つ挙げられるのですが、1つは亡き配偶者が忘れられず比べてしまうため。そしてもう1つの理由は世間体を気にするためです。 私も、上述した「結婚観の変化」とともにこの2つの壁があり、しばらく「出会う」こと自体に引け目を感じていました。 しかし、私の場合は結婚観が変わったことで、むしろ結婚に対する執着がなくなり、恋愛対象が「結婚相手」ではなく「今を一緒に楽しめる人」というライトなものに変化。よって、そもそも最初から亡き夫と比べる対象にはなりませんでした。
新しい恋の足かせになる「世間体」
どちらかというと、新しい恋愛に進む足かせになったのは「世間体」の方。
今恋愛したら、あんなに悲しんでいたのはうそだったのか、と思われそうで、感情を封じようとしたこともありました。また、「恋人ができた」と伝えたとき、数人の友人に「早いね!」と言われ、私自身にとっても想定外の早さだっただけに、「もう前の夫を忘れたの?」と言われているようで、後ろめたい気持ちをじんわり抱えたことも……。
「薄情者」「喪中なのにあさましい」心無い声の数々
実際、QAサイトなどを見ると、配偶者を亡くして数か月で好きな人や恋人ができた女性に対して「男がいないと生きられない恋愛体質」「亡くなった旦那さんがかわいそう」などという書き込みもかなり多く見られますし、夫の親戚に「薄情者」「喪中なのにあさましい」などと言われている方もいて、死別後の恋愛は周囲の反応が大きな壁になっていると感じます。 配偶者が亡くなっても、その人の人生は続いていきますから恋だってします。いつから恋愛していいかという決まりもありません。むしろ無理に感情を操作しようとする方が、喪失感からの再生を妨げてしまうと思うのです。
恋愛をするタイミングは人それぞれ
とはいえ、夫と死別後の恋愛において避けたいのは「亡き夫を忘れるために新しい彼氏を見つける」というような、ネガティブな理由で恋を始めること。
インドア派だった私ですが、新しい彼と出会って自転車で遠出するようになり、サイクリングの楽しさに目覚めました。
失恋でもそうですが、一時の寂しさや代わりのために見つけた相手は、やはり比較して苦しくなったり、誠実に接しにくくなったりします。タイミングは人それぞれですが、夫の死から自立し、人生に未来を感じられるようになったときに恋愛をする方が、心身共に楽しめると思うのです。