内定よりも彼女の座が欲しい!
「そこからはまさに“沼”でした。すっかり彼にハマってしまった私は、週3日ほどを大阪で過ごすようになりました。彼が不在の時も、大阪の彼の家に泊めてもらったりして。正直、『就活のついでに彼に会っているのか』『彼に会うついでに就活をしているのか』がよく分からなくなっていました」
大学から出ている格安の就活バスを使ったり、週末にバイトを詰め込んだりして、その生活は約2ヵ月近く続きました。
「『内定が出たらちゃんと付き合おう』と言ってくれたことがあって、不思議に自分の将来が全て保証されたような気になっていたんです。そんなはずは全くないのに」
その言葉がとにかく嬉しく、就活もついに片手間になってしまったそう。 周囲の多くが内定をもらっている中で、荻野さんにはいっこうに内定は出なかったけれど、気にならなかったと話します。
「田舎の女には最初から興味がなかったの?」
就活ラブをこじらせて約2か月半、この関係に突然の終わりが訪れます。
「その日も面接の後に会う約束をしていたのに、当日になって連絡がつかなくなったんです。心配な気持ちになり家に行こうと思ったけど突然押しかけるのもよくないと思い、結局しぶしぶ田舎に戻りました」
以降、連絡がつかない状況が半月ほど続きます。 謎な音信不通に不安でたまらなかったという荻野さんに、ついに彼から連絡が……。
「『本当に一緒にいるべきか分からなくなった。ごめん』と連絡が来たんです。あっけにとられましたよ。じゃあ私とのあの期間は何だったんだと憤(いきどお)りを感じました。まあ、キラキラ系な彼だったので、田舎の女には最初から興味がなかったんでしょうね」
すっかり夢中になっていた彼からの、突然のお別れ(?)宣言。 荻野さんもさすがに当初は落ち込み、毎晩のようにお酒を飲んだりカラオケで歌ったり、悲しみを発散させることに専念をしていたようです。 その後しばらくは就活で大阪に降り立つたびに、涙をこらえるのに必死だったとか。 しかし、タイミングよく内定をもらうことができ大阪に行く機会もなくなったことからも、比較的あっさりと吹っ切れたようです。