ジム・ロジャーズ (米国)――「人の何倍も努力した」頭脳明細な投資家

ソロス氏とともにヘッジファンドの歴史を築いたジム・ロジャーズ(Jim Rogers)氏。エール大学とオックスフォード大学卒のスーパーエリート投資家だが、実際にウォール街で就職するまで投資の知識はほとんどなかったという。

クォンタムファンド設立のほか、1989年にはロジャーズ・インターナショナル・コモディティ指数(RICI) も立ち上げた。現在はニューヨークからシンガポールへと拠点を移し、ロジャーズ・ホールディングス・アンド・ビーランド・インタレスツ (Rogers Holdings and Beeland Interests)の会長を務めている。現在の純資産は30億ドル(リッチエスト2017年12月データ )。

見習いアナリストとしてウォール街で勤務していたロジャーズ氏は、「グローバルマクロ」の先駆け者でもある。グローバルマクロとは、各国・地域の金融政策や社会情勢、マクロ経済などを細かく調査・分析し、機動的にグローバルな投資を行うヘッジファンドの運用手法のひとつだ。「値上がりするチャンスがある株を安く買って高く売る」という独自の投資法を成功させる要となっている。

頭脳ではピカ一のはずだが非常に謙虚な性質のようで、成功の秘訣を質問された際、「多くの人より賢いというタイプではなかったので、人の何倍も一生懸命働いた」と答えている(フィナンシャルタイムズ紙 より)。米国南部のアラバマ州で育ったロジャーズ氏は、近所の野球場からソーダの空き瓶を回収するというビジネスを、なんと5歳で立ち上げたというから、人並み以上の努力は幼少の頃からすでに始まっていたようだ。

カール・アイカーン(米国)――ツイッターでアップルの株価を5%押し上げた「ものいう投資家」

カール・アイカーン(Carl Icahn)氏は、「乗っ取り屋」「ものいう株主」の異名をとるほど貪欲な投資スタイルで知られている。自ら立ち上げたヘッジファンド、アイカーン・エンタープライジズ(Icahn Enterprise s)が保有する巨額の運用資金をフル回転させ、企業の経営権を次々と取得していく。

2017年だけでも米国のプレシジョン・オートケア(Precision Auto Care)やフェラデル・モグル・コーポレーション(Federal Mogul Corporation)を買収している。また株主として積極的に経営面に乗りだすことでも有名だ。

アイカーン・エンタープライジズは子会社を通し、投資、自動車、鉱業、ゲーム、不動産、メタルなど産業分野にとらわれることなく、世界中で事業を運営する精力的な企業である。

つい最近まで「分からないものには手をださない」とIT株には奥手だったバフェット氏とは対照的に、アイカーン氏はネットフリックス(Netflix) やヤフーの株 も早い時期から取得してきた。

2013年にはアップルの株を大量保有していると明かし、「過小評価されているため、ティム・クックCEOにより大規模な自社株買いをすすめた」とツイート。これによりアップル株のオプション取引が急増し、価格を約5%も押し上げた。

カーン氏は投資家としてはもちろん、トランプ政権誕生後は大統領の特別顧問任命・退任でも話題となった。昨年11月、トランプ大統領の勝利によって株価が跳ね上がると確信し、当選パーティーを抜け出してまで10億ドルを投資投資家根性に脱帽だ(ブルームバーグより )。現在の純資産は163億ドル。