日本最古の門跡寺院「大覚寺」や、歌人・藤原定家の山荘「時雨亭」があった地に鎮座する「常寂光寺」、苔ともみじの名所として有名な「祇王寺」など、京都・嵯峨野エリアの歴史と風情あるおすすめ観光スポットをご紹介します。
1.旧嵯峨御所 大本山 大覚寺
大覚寺は嵯峨に佇む日本最古の門跡寺院です。876年(貞観18年)、嵯峨天皇の離宮・嵯峨院の一部を寺に改めたのがはじまりで、山号は嵯峨山。弘法大師、空海を宗祖と仰ぐ真言宗大覚寺派の大本山であり、いけばな嵯峨御流の総司所、発祥の寺としても広く知られています。
2.常寂光寺
標高295mの小倉山中腹に位置している、慶長元年(1596年)創建の日蓮宗の寺院。かつては歌人・藤原定家の山荘「時雨亭」があった地とされ、『小倉百人一首』はここ小倉山で編纂されたものと言われています。境内には約200本のカエデが植栽され、紅葉名所としても有名。国の重要文化財指定を受けている多宝塔周辺も秋には紅葉に彩られ、ひときわ美しい情景を見せてくれます。
3.祇王寺
『平家物語』にも登場する寺院で、平清盛の心変わりによって都を追われた祇王が、母と妹・祇女とともに出家し余生を過ごした、悲恋の尼寺として知られています。茅葺き屋根の草庵には本尊である大日如来と共に、鎌倉時代の作とされる清盛、祇王、祇女らの木像を安置。また境内には、清盛を供養する五輪の石塔が置かれているほか、苔むした趣ある庭も広がっており、苔と紅葉の名所としても人気を集めています。
4.二尊院
慈覚大師円仁により承和年間(834〜848年)に開創された寺院。釈迦如来と阿弥陀如来の二尊をお祀りしていることから二尊院の名が付けられました。境内には、伏見城の薬医門を移築した総門をはじめ、勅使門、本堂などの建物が並び、伊藤仁斎などの学者や文人のお墓も多数あります。
また総門から続く「紅葉の馬場」と呼ばれる参道の両側には、もみじと桜の木が交互に植えられており、紅葉の名所としても知られています。
5.落柿舎
落柿舎(らくししゃ)は、芭蕉が門人の中でも最も信頼を寄せていた俳人・向井去来が閑居した草庵跡。芭蕉も合わせて三度来庵し、その様子を『嵯峨日記』に著すなど、芭蕉ゆかりの場所でもあります。
茅葺き屋根の庵を見学したり、庭に置かれたさまざまな俳人の句碑を眺めて、静かな時を過ごしてみては。投句用の用紙も受付時に渡されますので、風情ある景色の中で一句詠んでみるのもおすすめ。
6.あだしの念仏寺
約1200年前に空海(弘法大師)が無縁仏を弔うために建立したのがはじまり。後に法然上人が念仏道場として今の寺名に改めました。本堂には本尊の阿弥陀如来像が安置されています。そして境内の西院の河原には、無縁仏を弔う約8,000体の石仏・石塔群が並ぶ、圧巻の光景が広がります。桜や紅葉など四季折々の風景が眺められると共に、ふとこの世の無常に思いを馳せてしまうような場所です。