近年、教育分野では「非認知能力」の育成に高い関心が集まっている。子どもがよりよい人生を歩むうえで、これまで重視されてきたIQや学力などの「認知能力」よりも影響力が大きいことが、明らかになりつつあるからだ
(引用元:「私たちは子どもたちに何ができるのか」より抜粋)
上記は、今回取り上げる書籍、「私たちは子どもたちに何ができるのか」のまえがきに記されている一文です。
私たちの能力の分類のひとつに、以下の分け方があります。
- 認知能力
- 非認知能力
長らく日本の学校教育ではIQや偏差値、学力といった「認知能力」が重視されてきました。
ところが社会に出て求められる能力は学力に限りません。
粘り強さ、協調性、やり抜く力、自制心、感謝する力といった力の必要性に注目が集まってきました。
こらの力は「非認知能力」と呼ばれ、非認知能力を育てるための家庭での接し方、気をつける点などについての研究が活発に行われています。
YMCで開講しているチャイルドボディセラピスト講座でも掘り下げる、「非認知能力」についての紹介と、本書を通じてそれらの能力を伸ばすために大事なポイントを3つご紹介いたします。
本書の概要
本書の著者ポール・タフは、ノーベル経済学賞受賞のヘックマンの研究をはじめ、世界中の研究者によるさまざまな科学的知見と先進事例を統合し、特に貧困家庭に育つ子どもにとって、非認知能力の育成がその後の人生に大きな影響力をもつことを明らかにしました。そして日本でも政府機関や教育機関が「幼少期の非認知能力の育成」をとりあげた報告書や政策提言書を作成するなど、各方面で関心が高まっています。
(引用元:amazonより)
本書では、非認知能力を育む方法を具体的に示しています。紹介される事例は海外のものですが、日本の問題にも通じる内容が満載です。
著者のポール・タフは、『ハーパーズ・マガジン』『ニューヨーク・タイムズ・マガジン』に編集者・記者として在籍していた過去をもち、現在はフリーで活動するジャーナリスト。
最近では子どもの貧困と教育政策を専門に多数の執筆・講演活動を行っているそうです。
この本ではノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマンをはじめ、世界中の研究者によるさまざまな知見・事例を集め、非認知能力の育成がその後の人生に大きな影響力をもつことを明らかにした一冊となっています。
非認知能力とは?
「非認知能力」はノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマン教授が提唱する、IQや偏差値、読み書きの学力のような「認知能力」とは異なり、やり抜く力・好奇心・自制心のような能力のことを指します。
日本では「生きる力」や「人間力」と表現されることも多いです。
「非認知能力」が高い子どもは大人になってからの学歴が高く、健康的で、生活保護率が低く、年収が高いなど、将来成功する可能性が高いことが発見され、大きな話題となっています。
つまり、非認知能力は社会でうまくやっていくための能力ともいえます。
この力を伸ばすには幼少期、特に学校に通う前の未就学児における親や周囲の大人との関わり方が非常に重要であることが分かってきました。
ポイント①:非認知能力を育むアタッチメント(愛着)
生まれて最初の12カ月のうちに温かく気配りの行き届いた子育てを経験した子供は、多くが親と強い結びつきを形成する。研究者たちはこれを「安定したアタッチメント」と名づけた。
(引用元:「私たちは子どもたちに何ができるのか」より抜粋)
1970年代にミネソタ大学ではじまった長期にわたる研究によれば、1歳の時点で母親との間に安定したアタッチメントが見られた子供たちは、幼稚園では注意深く、物事に集中することができ、ミドル・スクールでは好奇心とレジリエンスを示し、高校を中退することなく卒業する確率が著しく高かった。
乳幼児期の子育てで最も大切なことは、親子の間にいかにして良いアタッチメントを築くかということになります。
子どもは母親から無条件に受け入れられ、愛される経験を通してアタッチメントを形成していきます。
心が優しい、コミュニケーション力が高い、頭がよい、運動が出来るといった資質を育てるには「アタッチメント」が基盤となります。
アタッチメントに効果的なベビーマッサージ
乳幼児期のアタッチメントに最も有効なもののひとつとして、「ベビーマッサージ」があります。
お母さんが優しく触れることで赤ちゃんは五感を刺激され、脳の発育にも良い影響があります。
また、赤ちゃんにマッサージをすることで、お母さんの方も情緒が安定するため、温かく気配りの行き届いた子育てを行うには非常に効果的です。