北海道の結婚披露宴では、平均3万円のご祝儀ではなく、1~2万円が相場の会費制が一般的。実は、結婚式だけではなく、葬式においても独特な文化があるといいます。
写真はイメージです(以下同じ)
函館では火葬してから通夜と告別式?
「受付で弔問客の記帳は行わず、代わりに香典袋にあらかじめ住所を記入してもらうんです。あと、その香典にも領収書を発行します。それと香典返しの必要もなかったんです。私も喪主を務めた主人も首都圏から離れたことがなく、今まで経験したお葬式とは勝手が違い過ぎて、すごく戸惑ったのを覚えています」
そう語るのは今から5年前、義父を亡くした専業主婦の吉田美結さん(仮名・38歳)。晩年独り身だった義父は、若いころに赴任していた時期があり「老後は住みたい」と常々語っていた函館に定年後に移住。その後もずっと元気で、突然の訃報だったため、何の準備もできていなかったとか。
「同じお葬式でも似ているようで違いが多かったし、なかでも驚いたのは火葬が告別式の後じゃなかったこと。仮通夜の翌日に火葬場へ行き、本通夜と告別式はお骨だけの状態で行ったんです。手配した葬儀会社からは『こちらではこのやり方が一般的なんです』と説明され、ネットにもそういう情報がたくさん載ってました。
お義父さんは生前、自分の葬儀の希望とか一切話していなかったし、私たち夫婦にも特にこだわりはありませんでした。だから、“郷に入っては郷に従え”じゃないですが、最後に住んでいた土地のやり方で見送るのも悪くないかなと思ったんです」
先に火葬を行ったことで一部の参列者からはクレームも
ちなみに函館で本通夜の前に火葬されるようになった理由については、 《①函館大火(1934年)で2000人以上が亡くなり、衛生上の観点から火葬を先に済ませた》、 《②戦前に伝染病が流行り、感染拡大を防ぐために葬儀の前に火葬した》、 《③戦時中に火葬が簡素化されて戦後も定着》、 《④1155名の犠牲者を出した洞爺丸事故(1954年)の際、葬儀が間に合わず先に火葬した》、 《⑤遠洋漁業の漁師の家族が亡くなった際、火葬を済ませてから帰りを待って葬儀を行った》 などの諸説がありますが、どれが起源なのかは不明のようです。
「移住先の函館で仲良くなった方は、地元のやり方を理解しているからよかったんですけど、親族や友人・知人のほとんどは遠方です。当然、そんな風習があるとは知りません。葬儀に参列する方は一部とは思いましたが、連絡する際には火葬が先にあることを説明し、お義父さんの顔を最後に見たいという方には仮通夜に参列されることを勧めました」
ほとんどの方は事情を理解してくれたそうですが、一部の参列者からは「故人の顔を見てお別れできないのはおかしい!」とお叱りの言葉を受けることも。地元の風習に従ったと何度も説明しても納得してくれなかったそうです。
「その方はお義父さんの会社員時代の同僚で、告別式のみの参加でした。直接お別れの言葉を伝えられず残念に思っていたのでしょうけど、せっかく葬儀に来てくれたわけですし、反論するわけにもいかず本当に困りました。
途中で函館の友人という方が仲裁に入ってくれましたが、やっぱり告別式の後に火葬したほうがよかったのかもしれません。この人みたいに怒りはしなくても『やっぱり最後に会えないのはさびしいね』と漏らしている方もいたので」
葬儀後も函館にひとり滞在
なお、葬儀が終わった後は夫は仕事、お子さんも学校があったのですぐに帰京。ただし、専業主婦だった美結さんは函館に残り、義父の遺品整理や自宅の解約手続きをするためにさらに一週間ほど滞在。毎日手続きや作業に追われて忙しく、地元グルメを食べに出かけたり、街を散策する余裕はとてもなかったといいます。
「夫も『せっかくだし、ついでにのんびりしてきなよ。子供の面倒は見ておくから』と言ってくれましたし、少し期待していたんですけど……。お義父さんの家を引き払うための片づけや掃除をしなければならず、葬式中より全然忙しかったです(苦笑)。
重たい家具や家電、段ボールを持って動き回っていたせいか腕は筋肉痛だったし、腰も痛めちゃったので。それでもお隣さんや近所に住むお友達の方が様子を見に来てくれて、すごくみんなから愛されていた方なんだと感じました。私はもともと人付き合いが苦手で友達も多いほうではないため、そこはちょっとうらやましかったですね」
ほかの地域とは違う葬儀の進め方に困惑し、さらに故人宅の後片付けなど大変なことばかりだったようですが、いろんな意味で忘れられない体験になったみたいです。
―冠婚葬祭のトホホ―
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<文/トシタカマサ イラスト/やましたともこ> トシタカマサ 一般男女のスカッと話やトンデモエピソードが大好物で、日夜収集に励んでいる。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。
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