重複した時はどうすれば良い?

さて、国民年金の前納期間中に厚生年金に加入して起こる年金の重複であるが、この場合はどのような手続きを取れば良いのだろうか。

国民年金と厚生年金の重複があった場合には、「国民年金保険料過誤納額還付・充当通知書」という書類が年金事務所より送付される。各個人の年金の加入記録や納付状況は基礎年金番号によって管理されており、厚生年金と国民年金の重複があった場合には、基礎年金番号を元に年金事務所が重複を確認し、就職後1、2カ月程度で書類が送付されることとなる。数カ月たっても書類が来ない場合は年金事務所へ相談をした方が良いだろう。

「国民年金保険料過誤納額還付・充当通知書」は厚生年金と国民年金の重複を知らせる通知書であり、そこには「国民年金保険料還付請求書」という書類が添付されている。この「国民年金保険料還付請求書」に還付金の振り込みを受ける口座情報を記入し、郵送もしくは年金事務所へ持参提出をして行う。

還付には時間が掛かる

提出した「国民年金保険料還付請求書」が受理されれば、「国庫金振込通知書」が送付される。振り込み予定日や振込先金融機関等の情報が記載された書類である。この通知書が届けば、あとは還付金の振り込みを待つのみとなる。

通常、「国民年金保険料還付請求書」から1、2カ月で還付金の振り込みが行われることとなる。重複があった時から考えると、重複の照会から還付金の振り込みまで数カ月を要することとなる。重複した年金保険料の還付は気長に待つ必要があるだろう。

なお、重複した年金保険料の還付は銀行振り込みだけでなく、郵便局の窓口で還付金を直接受け取る方法もある。郵便局の窓口での支払いには日数が掛かり、事故の発生も起こり得るため、年金事務所も振り込みでの還付を勧めている。基本的には振り込みでの還付を行う方が無難であろう。

国民年金の前納による重複があった場合には確定申告にも注意

厚生年金と国民年金の重複があった場合、還付金を受け取れば手続き完了となる。ただ、確定申告時に注意する点がある。

国民年金保険料は確定申告を行うことで社会保険料控除を受けることができる。しかし、国民年金の前納を行ったことによる年金の重複がある場合、重複期間の国民年金保険料を控除することはできない。重複期間の国民年金保険料は還付されるため、当然である。

前納した国民年金保険料と厚生年金保険料が重複している場合は、重複期間分を差し引いて申告する必要がある。自身で確定申告を行う場合はもちろん、年末時点で就職している場合は、年末調整時に勤務先を通じて申告することとなる。

注意したいのは、前納した国民年金保険料の全額を年末調整や確定申告において控除申請し、その後、前納完了期間までに厚生年金加入者となった場合である。年末時点で国民年金加入者でありながら、パート先等で年末調整を行い、その後、厚生年金加入者となったケースや、自身で確定申告を行った後に厚生年金加入者となったケースである。これらのケースでは、前納した国民年金保険料は全額控除の申請がなされるが、その後、厚生年金加入者となってから前納完了期間までの間で重複が起こることとなる。

こうした場合は、自身で確定申告や修正申告を行うことによって、正しい控除額へ修正する必要が生じる。