ショッピングサイト「ニッセンオンライン」に、トランスジェンダー(出生時に割り当てられた性と性自認が異なる人)に向けた下着ブランドがあるのを知っていますか?
その名も「as is」(アズイズ)。「自分に合った下着がない」というトランスジェンダー当事者の悩みを解決したいという開発者の想いから、2020年4月に誕生しました。
as isでは、「メンズ体型用ブラジャー」や「メンズ体型用ショーツ」、「胸をフラットにするTシャツ」「“男性のようなシルエットを作る”ボクサーパンツ」など、すべての人にとって身近である下着を舞台に、性、体格、体の見た目の枠から解放されるような商品が取り扱われています。
今回は、ニッセンインナーウェアチームマネージャーであり、as isの商品開発に携わった池内愛さんに、トランスジェンダーの下着にまつわる悩みや、as isの取り組みについて聞きました。
口コミからトランスジェンダーの下着に関する悩みを知る
メンズ体型用ブラジャー 花柄プリントブラジャー(税込2189円)
――as isを立ち上げた経緯を教えてください。
2019年にウェブ販売に特化した商品を取り扱うインナー部門ができました。既存のお客様に商品を見てもらうカタログに対し、ウェブ販売ではいかにお客様の悩みに寄り添った商品をお届けできるかが課題でした。
そこで「お悩み解決のスペシャリストになる」という部門の方針を立て、さまざまなお客様を想定し、どのようなお悩みをもち、どのようにして解決できるかを考え始めたのがas is誕生のきっかけです。
――どのようにしてトランスジェンダー当事者の悩みを知ることになったのでしょうか?
トールサイズの(高身長向けのサイズ)お客様の口コミから悩みを知りました。断言はできませんが、さまざまなお客様を想定するなかで、トランスジェンダー当事者の方が商品を購入することも考えられると思い、そこからネット上で当事者の下着にまつわる悩みを調べました。
店頭でフィッティングを断られた当事者も
メンズ体型用ショーツ 花柄プリントショーツ(税込1529~1749円)
――実際に当事者はどのような悩みを抱えているのでしょうか?
まず購入先の懸念点があります。直接肌に身につける下着は、アウターのようにだいたいのサイズで購入することが困難です。トランスジェンダーについての認識は広まりつつありますが、過去に店頭でフィッティングを断られた当事者もいたり、まだまだ購入に抵抗を感じてしまうことは多いそうです。
――下着に関する悩みも聞きますか?
自分の体格に合った下着を見つけるのが難しいとの声を聞きます。MTF(出生時に割り当てられた性別が男性で、性自認が女性の人)の方のお悩みでいうと、ブラジャーのサイズ感です。
一般的に売られているブラジャーはトランスジェンダーの方を想定してつくられていないため、骨格やサイズに差が出てしまい、アンダーを合わせるとカップが浮いてしまったりと、仕様上の悩みを抱える方は多い印象です。