’17年に映画初主演を果たしてから、5年弱。いまや映画、ドラマ、舞台と大活躍の俳優・岸井ゆきの。彼女の最新主演映画『やがて海へと届く』が、4月1日に劇場公開される。
映画の後も人生は続く。だから、きっかけになる映画が好きなんです
5年前に失踪した親友・すみれ(浜辺美波)を思い続ける真奈(岸井)の心の変遷を描く物語だ。喪失がテーマの本作、最近の映画には珍しく観る者に解釈をゆだねる。
「答えをこれだ!と提示する作品もいいですが、映画館を出た後も人生は続く。だから私自身は、そのまま生活に作用するような、自分や周りの人を考えるきっかけをくれる映画が好きです。世界がちょっと広がって、視線が上を向く。そういった作品を作ることができて嬉しかったです」
溢れる映画愛
©2022 映画「やがて海へと届く」製作委員会
本作の製作中、中川龍太郎監督と映画について会話する機会も多く、岸井のアイデアが取り入れられたこともあるという。受け身ではなく、有機的に作品作りに関わる彼女の眼差しには、映画愛が溢れている。
「エイミー・アダムスが主演した『メッセージ』を観たときに、過去も未来も同じという時間感覚が理解できませんでした。自分の未来を知ったうえで現在を生きていくなんて、私だったら絶望する。なのに、この作品が頭から離れない(笑)。最近は『それでも自分でいたい、人生を究めたいんだ』と思えるようになりました。
何度も観てやっと落とし込めるような映画に自分も出たい、と思っていたんです。『やがて海へと届く』が誰かにとってのそんな存在になれたら、とても幸せです」
【こちらの記事も読まれています】