結婚式と言えば余興が付き物。コロナ禍になり、少人数でささやかに行う結婚式も増えたようですが、中にはもちろん、たくさんの方に見届けてもらいたいというカップルも。余興は式を楽しく盛り上げてくれますが、頼む場合には、マナーに気をつけないといけません。
そっけなかった後輩
「1年くらい会ってない後輩から突然連絡がきて、結婚式で余興をして欲しいと言われたんです」
写真はイメージ(以下同じ)
そう語るのは、都内の会社に勤める朝子さん(仮名・30)。余興をお願いしてきたのは、以前、同じ部署で働いていた職場の後輩の里香さん(仮名・26)。
「里香ちゃんとは2年間くらい同じ部署で働いていて、私は里香ちゃんの指導担当でした」
残念ながら里香さんは「できる後輩」という感じではなく、仕事に対してやる気を感じられず、サボりがちだったと言います。
「彼女はプライベートを充実させたいタイプのようでした。仕事に情熱がなさそうで、社内でも少し孤立していました。初めは仲良くなろうとランチに誘ったりもしましたが、そっけなく断られた記憶があります(笑)」
仕事も遅かったため、朝子さんが尻拭いをさせられた思い出もあり、良い印象とは言い難い相手だそう。
「職場でギスギスしたくないので、表面上だけでも仲良く接しようと努力していました。ちょっとツンツンしてるところがある子で、私がご機嫌を取りに行く…という感じでしたね」
扱いにくい後輩だったため、1年前に彼女が異動になった時は「正直ホッとした」と言う朝子さん。
久しぶりにメッセージが来たと思いきや…
そんな里香さんからある日突然、Facebookを通してメッセージがありました。同じ部署だった時も、個人的なメッセージのやり取りはほぼなかったので驚いた朝子さん。
「里香ちゃんから連絡なんて珍しい!…とちょっと嬉しく思ったのも束の間、結婚式で余興をして欲しいという内容でした」
メッセージには「ぜひ結婚式に出席していただきたいです。あと、余興で何曲か歌ってくれたら嬉しいです!」と書いてあったそう。これにはモヤッとせずにはいられなかった朝子さん。
「実は、仕事のかたわらジャズシンガーをしているんです。週末は大体、イベントに出演したりしています。理解がある会社だったので、お休みをもらって遠方のコンサートにお呼ばれして行くこともあります」
音楽系の仕事をしていたお父さんの影響で、幼少から音楽に触れていた朝子さんは、ジャズシンガーとしてCDもリリースしています。以前は音楽のみで生計を立てていましたが、それだけで暮らして行くのは厳しく、今は会社員をしながらやっているのだそう。
「一応、歌う時はお金をいただいています。結婚式にゲストで呼ばれることもあり、仕事としてやるならいいのですが…」
里香さんのメッセージからは仕事としてお願いする、というニュアンスは感じられなかったそう。