世の中にはいろいろな趣味趣向の人がいる。本人でさえ自分の心がどこに向いていくのかわからないこともある。
自らの不倫で、夫が思いがけない態度に出てきたことで夫婦の関係が変わったという女性がいる。
写真はイメージです(以下同)
師弟関係から略奪婚へ
「うちは夫婦というより、先生と生徒みたいな関係だったんです」
笑みを浮かべながらそう言うのは、キヨノさん(40歳・仮名)だ。実際、先生と生徒だった時期もある。
彼女は24歳のとき、仕事に関係する研究者の講演を聴きに行った。それがきっかけで、その講演者の教えを請うようになった。そして師弟関係のまま恋人関係に突入した。講演者の彼は当時48歳。彼女より二回り年上で既婚だった。
「私は自分で言うのもヘンですが、まじめな人間でした。子どもの頃から成績がよくて国立大学を卒業し、有名企業に入社。そこでも自分のスキルを上げようと必死だった。だから彼の講演を聴きに行ったんです。
講演終了後、疑問があったので質問に行きました。彼は答えてくれ、名刺をくれました。そこから連絡をとりあうようになり、半年かからずに彼の『恋人』になっていました。そんなつもりはなかったんだけど、私、初めての恋愛だったんです。すっかり彼の手中に落ちたという感じだったのかもしれません」
彼は「離婚するから待っていてほしい」と言った。恋愛初心者の彼女でも、そんなことは嘘に決まっているとわかった。だから「半年だけ待ちます」と答えた。半年後、彼はきれいに離婚したからと彼女の部屋に転がり込んできた。
「私には神様みたいな人でした」
「きれいに離婚したわけじゃなくて、全財産を妻子に渡して解放してもらったんですよ。彼にあるのは大量の資料や本、パソコンが3台。そのくらいでした。でも私はうれしかった」
預金もないけど一緒に暮らそうと彼は笑った。そんな彼に、キヨノさんは改めて惚れ込んだという。
「お互いに仕事が忙しかったけれど、一緒にいる時間をなるべく作り出しました。彼といると自分が自然でいられて、なおかつもっと勉強したい、もっと向上したいと思える。私には神様みたいな人でした。それに……」
彼女は顔を赤くして言いよどんだ。ぽつりぽつりと話してくれたことを整理すると、肉体的な相性も非常によかったという。
それまで性体験のなかった彼女だが、「お互いの体になじむのは早かった」と笑顔を見せた。ひとたび深い快楽を得ると、それはどこまでも限りなく上昇していったという。