SNSで相手の実名や社名を出して批判することはリスキー

――確かにそうですね。では、「より早く本人が健康な生活を送れるようになるために」という観点からみると、どのような行動を取るのが望ましいでしょうか?

伊藤: 上司や同僚、クライアントから、パワハラだと感じられる言動があった以上、ご本人が働きにくさを感じたり就労意欲が低下したりしていることは間違いないはずです。そうなると、まず考えるべきはその状況の改善を図っていくことです。

パワハラ被害を受けて相談にいらっしゃる方の中には「心身のバランスが崩れるまで誰にも言わずに我慢した」「自分を追い込んだ加害者にもダメージを与えたいということで頭がいっぱいだった」と、職場環境の改善を図ることを十分検討していない方もいらっしゃるように思えます。

しかし、本来最初に考えなければならないのは、「不快な言動をストップしてもらい、働きやすい職場を取り戻していくにはどうしたらいいか」です。会社の相談窓口、加害者以外の上司、同僚に相談するなど選択肢はいろいろあると思います。

会社自体がパワハラ体質で職場環境の回復が期待できない場合には、転職を検討することも恥ずかしいことではありません。

心身を病んでしまう前にハラスメントの環境を「変える」または可能な限りその環境から「離れる」ことが重要です。しかしながら、SNSで社名や加害者名を出して批判する以外の方法を探りましょう。

それがもし間違いだった場合、名誉毀損などで逆に責任追及される可能性がありますし、それによって状況が改善されるとも考えにくいからです。万が一訴訟に踏み切りたいという場合は、きちんとした法的手続きを踏んだうえで慎重に行動してくださいね。

「快適に働ける環境を取り戻すこと」に意識をシフトしよう

パワハラを受けて悔しさでいっぱいになり、「仕返ししたい」と考えてしまうことに共感してくれる人も多いはず。しかし伊藤先生がおっしゃる通り、仕返しによって本人が幸せになれるかというとそうではありません。

理想の未来を手に入れるため、今何をすべきか、自分に何ができるのかを考え、1年後、5年後、10年後も気持ちよく働ける環境を実現していきましょう。

【取材協力】
伊藤尚(いとうひさし)弁護士
第一東京弁護士会所属
奥川法律事務所所属
主な業務分野:労働者側労働問題、使用者側労働問題など
著書:『変化する雇用社会における人事権』(共著)など

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