何かに依存する生き方も実はステキ
――まさに後半、里美のお姉さんが、悩んでいる里美に対して「依存してるかどうかは関係ない」と言います。そのセリフと続く言葉に、ハッとしました。
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『ペットにドはまりして、会社辞めました』より
作道「何かに依存する生き方も実はステキじゃないですか、と伝えたくなったんです。たしかに分離不安症はよくないと思います。人間の恋愛においてもそうですよね。親離れ子離れとか。常に一緒にいないと不安で離れていられないというのは問題ですが、だからと言って依存気質を治さないとと思っても、たぶん里美は治らない」
「乗り越えていく」というのは違う
――最初から里美は「依存ではなく愛だ」と言っていますし、彼女なりの幸せへの模索をしていくと。
『ペットにドはまりして、会社辞めました』より
作道「里美は愛を力に変えて生きている女性なので、“愛ゆえに”というのは軸。何かを好きになった気持ちというのは、手放さない女性だと思います。なので問題を乗り越えていく、というアプローチではない解決の方向を考えました。こうじゃないと幸せじゃないんじゃないかと思い込んでいる節があるのを、こっちも幸せなんじゃないか、こういう生き方もあっていいと見方を変えるというか」
――里美を見ていると、獣医師さんとのやりとりや終盤の出来事など、人との出会いもやはり大きいと感じます。
作道「以前、ひきこもり問題の脚本を書かせてもらったことがあって、悩んでいる当事者たちが集まるカフェをやっている方に取材したんです。そのときにも、結局人を癒すのは人だし、傷つけるのも人。その複雑さから人は逃れられないんだなというのは思いましたし、そこはどんな作品でも意識しています」