千秋と同じ傷を持ちながら、再生の兆しも見えるみひろ
一方で、千秋のもとにいたみひろ(山口まゆ)は、忍が自宅に住まわせることになった。なぜかみひろと一緒だと痛々しいくらいはしゃぎ、痛々しいくらい親切になる忍。現在の千秋との唯一の接点がみひろだからだろうか。
哀しいほど周りの目を気にするみひろは、頼みもしないのに忍と岡野が打ち合わせをしているときにコーヒーをいれてもってくる。それを機に、忍は漫画を描くときもみひろに役割を与えようとする。みひろは少しずつ自分の気持ちを確認していき、さらに忍の胸で号泣することで再生できそうな気配である。
自分を抑えつける忍、身動きが取れない千秋
動けないままなのは忍なのかもしれない。連載打ち切りで落ち込んだ気持ちを、みひろと過ごすことによって少しは解消できたものの、岡野のことも本気ではなさそうに見える。本当は千秋への思いが消せずにいるのだ。
だが、たまたま会った千秋から「みひろの生活費。会えたら渡そうと思っていた」と言われ、千秋がもう自分に恋してはいないのだと感じてしまう。千秋と自分の間に、みひろという第三者がいることで、距離ができてしまったと彼女は思い込んでいるのではないだろうか。
年上の自分から千秋にアプローチするわけにはいかない。ましてや今は岡野とつきあっているわけだから、もう千秋に恋をしてはいけない。そもそも無理だったんだと自分を抑えつけているように見える。
だが、千秋もまた動けないのだ。母のこと、漫画のこと。身動きがとれないまま、日々を虚無的に送るしかない現状。自分がいちばん自分に腹を立てているのかもしれない。
彼は、たびたび忍の住むマンションの敷地内のベンチでブラックコーヒーを飲んでいる。少しでも忍のそばにいたい思いがあるのだろう。そんなとき、岡野がマンションへ入っていくのを見かけ、フッと笑う千秋の表情がいい。世の中なんて壊れちまえ、誰も彼もいなくなってしまえと呪うような、それでいて自嘲的な顔。
板垣李光人は無表情で気持ちを表現することにも長けている。山口紗弥加は「止まった表情」に気持ちがこもる。このふたりが一緒に動き出せる日は来るのだろうか。
<文/亀山早苗> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 亀山早苗 フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio
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