「花街」として賑わった「花隈」の守り神
日本全国には、弁天様が祀られている神社は他にもたくさんありますが、なぜ 四宮神社 は特に 技芸と財 として注目を集め、芸能人が訪れるまでに至ったのでしょうか?
それは、「花隈(はなくま)」という街の中にあることが大きな要因です。JR元町駅とJR神戸駅の中間あたりにある 花隈、実はこの一帯は、戦前は神戸随一の 花街 としてとても賑わっていたのです。
広義では 遊郭 にまとめられますが、花街 で働く女性は、ただ体を売るだけではなく、美しく技芸が達者 で 商売繁盛 の役に立たなければ生きていけません。だから、美しさを得る、技芸や芸能が達者になる、商売繁盛・・・といったご利益を得ようと、多くの芸妓が足繁く参拝していたのです。言うなれば 花街の守り神。だから、芸能人として開花したい人がお忍びで参拝に来るようになったのですね。
「鬼門鎮護の神」でもある【四宮神社】
もう一つ、四宮神社 が崇められるワケがあります。それは「鬼門鎮護の神」でもあること。これは、弁天様には直接関係はなく、立地に大いな関係があります。
織田信長 が活躍していた安土桃山時代、花隈 には 花隈城 がありました。織田信長が荒木村重に命じて築かせた城です。その花隈城の 北東 、すなわち 鬼門 に位置していたのが 四宮神社。
鬼門(北東)は鬼が出入りできる方角として忌み嫌われ、かつては都や城を守るべく、鬼門や裏鬼門に、守り神として神社を設置していました。四宮神社は 花隈城の「鬼門鎮護の神」として崇められていたのです。
四宮神社を海側へ行くと、「花隈公園」という城壁のような石垣で造られた公園があります。これは観光客用に造られたもので、本当の花隈城は今となっては跡形もありません。でも、四宮神社が 花隈城の「鬼門鎮護の神」であったのですね。
そんなこともあり、さまざまな時代を経ても、今もなお地元の人たちに親しみのある神社として佇んでいます。夏祭りや餅つきなども境内で行っているのですよ♪