投資信託を選ぶとき、どの国の商品に投資しているのか、その投資信託は何年ぐらい続いているのか、またこれまでの実績はどうなのかなどを見る人は多いと思いますが、信託報酬はしっかりと確認しているでしょうか。実はこの信託報酬は運用成績に大きく影響する大切なものです。今回はこの信託報酬とは何かという話から、信託報酬が投資で重要な理由、そして信託報酬が安い投資信託の見つけ方をご紹介します。

信託報酬とは?

(写真=PIXTA)

投資信託の信託報酬というのは、投資信託を運用してもらい、資産を管理してもらうための経費として、投資信託を保有している間ずっと払い続ける費用のことです。支払い先は、投資信託を販売している会社や財産を管理・運用している信託銀行、そして運用の指示を出す運用会社です。

この信託報酬は別途払うのではなく、預けている資産の中から「純資産総額の何%」といった形で差し引かれます。成果報酬ではないので、保有している投資信託が値上がりしても値下がりしても払う必要があるお金です。

投資信託で信託報酬が大切な理由

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金額で考えると手数料の高さがわかる

信託報酬は投資信託を保有している間ずっと払い続ける手数料で、一般的に0.5%から2%程度ですが、中にはもっと低いものもありますし、2%を超えるものもあります。たった数%の違いですが、実際に金額にしてみると手数料の違いがよくわかります。

例えば、ある投資信託を200万円分保有していたとすると、信託報酬が0.5%であれば年間の手数料は1万円ですが、2%なら4万円になります。2%ぐらいならいいかと思っていた人でも、年間4万円と聞くと高いなと感じるのではないでしょうか。

運用成績はバラツキがあるが手数料は安定

投資信託の運用はプロのファンドマネージャーが行いますが、投資である以上、確実に利益が出ることはありません。うまくいく年もあれば損失が出る年もあります。その中で、手数料が低い投資信託を選べば、確実にその分だけ運用成績にプラスに働きます。

例えば、信託報酬が年間1%の投資信託Aと2%の投資信託Bを比べた場合、投資信託Aが3%の利益を上げたら投資信託Bは4%の利益を上げなければ、信託報酬の分投資信託Aより資産が減ってしまいます。同様に、投資信託Aが-1%の損失を出しても、投資信託Bは±0以上でないと結局はAより悪い運用になるのです。

このように、信託報酬が安い投資信託というのは、それだけで運用成績に有利に働きます。

信託報酬が安い投資信託の見つけ方

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インデックスファンドvsアクティブファンド

投資信託は「インデックスファンド」と「アクティブファンド」の2種類に大きく分けることができます。インデックスファンドとは、日経平均やTOPIXなどの「株価指標」と同じような動きをするように作られた投資信託で、アクティブファンドとはプロのファンドマネージャーが値上がりしそうな株式や債券を組み合わせ、株価指標などのベンチマーク以上の運用を目指す投資信託です。

これらの2つの場合、一般的に信託報酬が安いのはインデックスファンドの方です。というのも、インデックスファンドでは目指す株価指標が採用している銘柄と同じ銘柄を揃えればいいので、銘柄選びの手間が少なくて済むからです。

つみたてNISAの商品は信託報酬に上限がある

つみたてNISAでは、はじめから信託報酬に上限を設けられています。この制度では、国内株式のインデックスファンドでは信託報酬は0.5%以下、国内株式のアクティブファンドでも1%以下という制限があり、それ以上のものはそもそもつみたてNISAの商品に選ばれていません。

よって、つみたてNISAで投資をしている人はそれほど信託報酬を気にしなくていいのですが、ここでのポイントは、つみたてNISAの対象商品はつみたてNISAを利用していなくても買うことができることです。証券会社のHPなどに行くと、どの投資信託がつみたてNISAの対象商品か確認できます。買おうと思っている投資信託がつみたてNISAの対象商品であれば、まず信託報酬はそれほど高くないと考えてもいいでしょう。

投資信託を選ぶときは信託報酬を重視しよう

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信託報酬は年数%でも金額に直して考えてみると大きな額であることがわかります。もちろん中には信託報酬が高い分運用成績がすごくいい商品があるかもしれませんが、投資ではいい時もあれば悪い時もある一方、信託報酬のコストは必ずかかり、その手数料を安くできればその分安定して運用にプラスに働きます。これまで信託報酬を意識していなかった人は、ぜひこのコストを意識して投資信託を選んでみてください。

文・松岡紀史(ファイナンシャル・プランナー、ライツワードFP事務所

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