日々の暮らしや仕事でIT用語に触れる機会が増えました。
しかしその多くが難しい言葉だったり、ネットで調べてもいまいちよくわからなかったり、ということはありませんか?
このシリーズではそういったお悩みや疑問にお答えすべく、できるだけシンプルに、身近な例などを用いながら、IT用語を解説していきます。
シリーズ最終回は「営業職とITツール」。営業職とITの関わりを、一緒に見ていきましょう。
【営業職とIT用語】営業職のイメージ=ITとは無縁?
営業職というと、みなさんはどんなイメージがありますか?
自分の足で地道に開拓をし、持ち前のコミュニケーションがものを言う、少し泥臭いイメージがあるかもしれません。
その通り、営業職というポジションは、古くはその人が持つ「営業のコツ」により大きく成績や結果が左右されるものでした。
昔から、売り込みやアピールが上手な人を「営業が上手い人」と表現する言葉もあります。
そのくらい営業とは、業務を遂行する人に依存する…つまり、「属人的」な仕事でした。
しかし現在、営業は「属人的な仕事」からの脱却という、大きな変革の時を迎えています。
そこには、一見営業職とは無縁に見える「IT」の浸透が関係しているのです。
【営業職とIT用語】CRM・MAツールの登場
ここ数年で、営業職のためのITツールが多く誕生しました。
今回はその中でも代表的なものを見ていきます。まずは、CRMです。
CRMとは、Customer Relationship Managementの略で、日本語では「顧客関係管理」と訳します。(本来CRMとは手法を指すため、CRM化のITツールは「CRMツール」と呼ばれるべきですが、現在では広くツールそのものを「CRM」と呼ぶため、ここでもそれに準じて記載します。)
CRMはいわば顧客のデータベースのようなもの。氏名や住所(会社所在地)などの基本情報をはじめ、いつどのようにコンタクトをとったか、購入(利用)履歴、好みや傾向などの顧客情報を記録できます。
記録した内容はデータベースにアクセスすれば、いつでも確認が可能です。
CRMの大きな特徴は、「チーム内での情報共有が可能」なことです。
CRMのIDやPWを社内で共通で持つことで、複数の営業担当者が同じ情報にアクセスすることが可能です。
今まで営業が属人的であった理由として、営業担当者が各々で顧客管理をしていたことが挙げられるので、これは大きな変革です。
CRMの登場により、担当者が不在の場合に問題が解決できず顧客を待たせてしまう(あるいは問題解決できない)という課題が解消されました。
結果、顧客の「誰に相談しても均一なサービス(対応)を得られる」という満足度の獲得に成功、それが最終的に「サービス(対応)そのもののレベルアップ」に繋がるという好循環を納めている企業も少なくありません。
また、営業が属人的であった理由の一つに、営業担当者の「経験値」「感覚値」により、開拓の可否が決まっていたという部分があります。
新人は営業経験を5年、10年と積むことにより顧客を獲得できるようになる、つまり営業の勘が身について一人前になると言われていました。
しかし、スピード感が重要な現代のビジネスにおいて、若手が育つまでに時間がかかりすぎるこの考え方は致命的とも言えます。
そこで近年注目を集めているのがMAツール。
MAとはMarketing Automationの略で、「マーケティングの自動化、効率化」を指します。MAツールは、
- メルマガの配信やWebからの資料DL
- 顧客行動の追跡(トラッキング)
- 顧客に対してのスコアリング(購買温度感)
などの機能を有しています。
これらの機能をうまく使うことで顧客の興味、検討度合いや温度感を数値化して確認・分析、アプローチ時の判断材料にできます。
つまり、昔は「今なら買ってくれそう」「今ではない」など人の感覚だけで判断していたクロージング部分も、MAツールを使うことで数字に基づいたより正確なアプローチが可能になったのです。
MAツールの登場により、正確性の担保はもちろんのこと、経験値が少ない若手もベテランと遜色なく適切なタイミングで適切な提案ができるようになりました。