30代ミドルキャリア専門転職エージェントのベテランアドバイザー対談・後編。社会人経験豊富な30代が転職エージェントを活用するメリットとは。そして30代が口にしがちな「これを最後の転職にしたい」という転職理由を、採用担当者はどのように見ているのか?「転職のプロフェッショナル」2人に聞きました。
30代ミドルキャリアの転職支援、20代との違い
高木:私は人材紹介の仕事を始めて10年になります。若い頃は自分より年齢もキャリアも上の方の転職をお手伝いする際、自身のキャリア不足を感じることもありました。でも次第に年齢と経験が追いついてきたと感じています。30代ミドルキャリア層と20代ポテンシャル層の転職では、我々アドバイザーのサポート内容も大きく変わりますからね。
若林:そうですね。転職エージェントに求められる役割が、20代30代とでは、ガラッと変わります。
高木:ミドルキャリア層については希望に沿う求人をご紹介して、内定獲得のためのアドバイスをする、といったサポートではなくなります。求人の募集背景は何か、どんな役割を期待されているのか、一緒に働く方はどのような経歴の方なのか、入社することで企業に対してどのようなインパクトを与えられるのかといった、より細かい情報をお伝えする必要があると思っています。
若林:私も高木さんと同様、若い頃はミドルキャリアの方の転職サポートで至らなかった点があったと思います。相談に来られたお客様が
「こんな若いアドバイザーで大丈夫?業界知識とかあるの?」
と明らかに不安がられていると感じたこともありましたし。
若林:もちろん、若くても優秀なアドバイザーはたくさんいます。しかしアドバイザー職を17年経験した今のほうが、リーダークラスの方の転職にかける思いや覚悟を深く理解できるようになり、ご支援に自信が持てるようになりました。
年収アップ、働き方改善…30代の転職成功事例
高木:印象に残っているミドルキャリアの転職支援は、働き方の改善と年収アップの両方を実現された30代女性。現職企業の産育休制度の導入・活用が遅れていることが懸念材料となり転職を決意された方でした。ご支援の結果、結婚・出産を経て活躍を続ける女性社員のいるベンチャー企業への転職に成功して、年収もアップ。働き方の自由度も上がりとても満足されました。
若林:ご本人の満足度が高い転職になると、我々も達成感が大きいですよね。
高木:一方で、年収を下げる転職になった方もおられました。長年イベント業界におられた方で、業界の先行き不安から転職相談に来られました。しかし、マネージャーというポジションと高年収を手放す決断ができず、1年ほど転職を迷っておられて。コロナの影響で業績が下がったことで、異業種へ転職してメンバークラスから再スタートを切ることを決断されました。
若林:足元の年収に固執せず、将来を見据えて転職されたんですね。
高木:勇気ある決断だったと思います。ただ、もともと関心のある業界への転身でもあり、新しいスキルを得られるチャンスなので、満足のいく転職になったとおっしゃっていました。
若林:私は他のエージェントで紹介されたもののスルーしていた求人を再度検討いただいたことがありました。
医療系で大手を渡り歩いてきて「この仕事はもうやり切った」という思いがあり、転職を決意された30代後半の男性。40代は何か新しいことをやりたい、というご希望に沿った求人だったのですが、他エージェントで見せられた求人票だけでは詳細がわからず、却下していたそうです。
高木:確かに求人票に記載されている情報だけでは、ご要望に沿った仕事内容かどうかの判断がつきづらい。特にミドルキャリア層の転職は仕事内容だけでなく、募集背景まで汲み取り、本質的に活躍できる環境かどうかを正しく見極める必要がありますからね。
若林:改めて私から今回の募集背景や、これまで培ったスキルをどのように活かせるポジションなのかという点を詳しくお伝えしたところ、意向が高まって応募に至り、見事内定獲得。事前に詳細な企業情報を提供していたからか、入社後にギャップを感じることもなく、大変満足された転職になりました。