「室内飼いだから猫ノミは関係ない」と思っていませんか。
しかし、室内飼育でも猫ノミが寄生したケースはたくさんあります。猫ノミはかゆみを引き起こすだけでなく、皮膚炎につながる可能性も。
人や犬にも害を与えるため予防が肝心です。猫ノミによってどんな影響があるのか、くわしくご紹介します。
1.猫ノミとは
猫ノミの大きさは、肉眼で確認できる体長2~3mm。とても小さいですが、体長の100倍以上ジャンプできるのが特徴です。猫だけでなく、人、犬、ネズミなどあらゆる動物に害を与えるので注意が必要です。
猫に1匹寄生すると、1日4個~20個の卵を産卵。卵は1~6日程で孵化し、動物のフケやノミのフンを栄養分に1~2週間程で成虫になります。13℃以上あれば繁殖できるので、快適な家の中は猫ノミにとって年中過ごしやすい環境といえるでしょう。一生の間に400個以上産んだ例があり、1匹侵入するだけで大繁殖する可能性があります。
「飼い主さんの靴や服について持ち込まれる」「一緒に暮らす犬が散歩している間に付く」「他の猫と接触して寄生される」「猫ノミに寄生された猫が近隣にいて、玄関やベランダから猫ノミが侵入」などの感染経路があるため、十分注意しましょう。
2.猫ノミによる症状と病気
ソファで寝転がっている時、かゆみを感じたことはありませんか。
部屋に侵入した猫ノミは、猫用のベッド周り、ソファの上、カーペットの上、家具の下、部屋の隅など、湿度の高いところを好み、大繁殖していきます。では、猫に寄生するとどのような症状や病気が見られるのでしょうか。
かゆみにより掻きむしってしまう
かゆくて掻きむしるのが初期症状です。猫ノミに刺される数が増えるほど、かゆみは強くなります。血を吸われるため、大量に寄生している場合、貧血症状が見られることもあります。
ノミアレルギー性皮膚炎
猫ノミの唾液に対してアレルギー反応を起こすと、お腹、首、背中などに赤くブツブツとした小さな突起が見られ、強いかゆみから掻きむしるようになります。
血がにじむほど掻きむしるようになると、傷からウイルスや細菌を感染しやすくなるので早期対応が求められます。ステロイド剤や抗生物質で治療するのと併せて、部屋中のノミ駆除を行うのが望ましいでしょう。
瓜実条虫症による下痢や嘔吐
瓜実条虫はサナダムシともいわれます。グルーミング時、瓜実条虫の幼虫を持った猫ノミを食べてしまうと、猫の小腸に瓜実条虫が寄生。下痢や嘔吐の症状が見られ、体重が減ることもあります。駆虫薬で治療します。
ヘモプラズマ症
猫ノミなどの吸血性の節足動物により媒介される感染症で、病原体が猫の赤血球に感染。赤血球が破壊されて、溶血性貧血を起こします。赤い尿や黄疸の症状が現れる場合もあります。抗生物質によって治療します。
3.猫ノミによる人間への被害は?
猫ノミの被害は猫だけではありません。人の血を吸ってかゆみや腫れを引き起こすなどの害を与えます。
猫ノミがどのような症状を引き起こすのか見ていきましょう。
ノミ刺咬症
人には寄生しませんが、吸血することはあります。刺されると10分~48時間程で激しいかゆみを感じるようになるでしょう。患部を掻くと傷から細菌感染して化膿するケースも。悪化すると水ぶくれができる場合もあります。
猫ひっかき病
猫には症状が見られないため、飼い主さんに症状が出るまで気付きにくい病気です。
猫がバルトネラ菌に感染したノミに吸血された後、飼い主さんを噛んだり、ひっかいたりすると人に感染します。主な症状は、患部の化膿、リンパ節の腫れ、発熱、頭痛。免疫力の低い高齢者などは重篤化する場合があるので、注意が必要です。
瓜条虫症
瓜実条虫はサナダムシともいわれます。
瓜実条虫の幼虫を持った猫ノミをつぶすと、卵が手に付くことがあります。その手で顔を触ったり、食事をしたりして体内に入ると、下痢などを引き起こします。