『カーネーション』<尾野真千子から夏木マリへ>
近年の朝ドラでは最高傑作とも呼ばれている『カーネーション』。2011年度下半期に放送され、今でもファンミーティングが開かれるほど人気の作品です。この作品のヒロイン・糸子役は、10代からを尾野真千子さんが、晩年期(72歳から92歳)を夏木マリさんが演じました。
DVD『連続テレビ小説 カーネーション 総集編』
内容もさることながら、尾野さんの好演が光ったこのドラマ。「夏木マリさんに交代せずとも、尾野さんが老けメイクで演じてもいいのでは?」という意見も多数あり、違和感を覚える視聴者も少なからず存在したといいます。
それだけ尾野さんの糸子に親しんで、物語に没入した視聴者が多かったということでしょう。ですが夏木さんは晩年の糸子を見事にこなし、ドラマのフィナーレを飾るにふさわしい味のある演技を見せてくれました。
「一歩間違えるとコントに」老けメイクの難しさ
他、遠野凪子さんから倍賞千恵子さんに交代した『すずらん』(1999年)、井上真央さんから若尾文子さんに交代した『おひさま』(2011年)などがあります。
役者交代には賛否両論ありますが、愛された朝ドラほど、晩年期にヒロイン役の女優さんが変わることに難をしめす視聴者が多いように感じます。ただ、たとえ技術が向上したと言えど、老けメイクはやりすぎるとコントのようになってしまいます。
DVD『連続テレビ小説 おひさま 総集編』
『あさが来た』(2015~2016年/主演:波瑠)や『べっぴんさん』(2016~2017年/主演:芳根京子)のように、分かりやすい老けメイクをせず年齢を演技でカバーするケースもありますが、交代をさせるのが女優さんにも負担なく、展開としても自然に時間を飛ばすことができる無難な方法なのでしょう。
さて、『カムカム』終盤に安子の再登場はあるのか、演じるのは果たして上白石萌音さんなのか、違う女優さんが安子を演じるのか……意見は様々ですが、改めて今後の展開が楽しみになってきましたね。
<文/小政りょう> 小政りょう 映画・テレビの制作会社等に出入りもするライター。趣味は陸上競技観戦
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