親子三代、リレー形式でヒロインを描き話題を集めているNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(以下『カムカム』)。2月10日の放送回からは、3代目ヒロイン・川栄李奈さんが登場し、終盤に向けてますます盛り上がってきています。

『カムカム』上白石萌音はまた登場する?晩年期に役者が変わった朝ドラたち
(画像=『女子SPA!』より引用)

『連続テレビ小説 カムカムエヴリバディ Part1』(NHK出版)

 その中で期待されるのが、1代目のヒロイン・上白石萌音さん演じる安子の再登場。しかし、現在放送中の時点(第6週/1983年)で60歳近い安子を、24歳の上白石さん本人が老けメイクで演じるかどうかは疑問です。

 実年齢49歳の2代目ヒロイン・深津絵里さんが18歳を演じたように、上白石さんがそのまま演じる可能性も否定できませんが、SNSでは上白石さんと雰囲気が似ている宮崎美子さんが演じるのでは?という声も上がっています。

 もしそうなった場合、果たして自然に受けいれられるのかと不安になる視聴者も多いかもしれませんが、実はこれまでの朝ドラでも演者交代した作品がいくつか存在するのです。

 そこで、今までの朝ドラでヒロインが晩年期に演者が変更した作品をご紹介します。

『おしん』<田中裕子から乙羽信子に>

『カムカム』本編でもオマージュ的に登場し、3人の女優がリレー形式でヒロインを演じる点などなにかと共通点の多い『おしん』。1983年(昭和58年)の4月から1年間にわたって放映され、1年間の平均視聴率52.6%、最高視聴率は62.9%を記録するなど、NHK連続テレビ小説史上いちばん世間に影響力を与えたと言ってもいい名作です。

 小林綾子さん演じる少女時代(7~10歳)から数々の試練に耐え、困難に立ち向かいながら乗り越えた、田中裕子さん演じる成年期(16~45歳)。そして物語が終盤に差し掛かり、50~83歳のおしんとしてバトンを渡されたのが乙羽信子さんです。

『カムカム』上白石萌音はまた登場する?晩年期に役者が変わった朝ドラたち
(画像=『女子SPA!』より引用)

Blu-ray『連続テレビ小説 おしん 完全版 7 完結編』

 田中さん時代に嫁いびり、出産、逃亡、家族や親友の死、戦争……など、数多くの厳しさを機転や根性で乗り越え人気を得ていた成年期の田中おしん。しかし、乙羽さん期になると、子どもやお嫁さんを古風な考え方でいびる頑固な女性へと変貌したことがあり、戸惑う視聴者も多数見られました。

 中・晩年期のおしんの嘆きは物語の肝ではありますが、大人になっても容赦なく訪れる困難はあまりにリアルでした。おしんという一人の女性の生き方は、国境も時代も越えて、今なお多くの人々の共感を呼んでいます。

『春よ、来い』<安田成美から中田喜子へ>

 1994年10月から1年間放映された『春よ、来い』は、『おしん』と同じく橋田寿賀子さんの脚本で、橋田壽賀子の自伝的作品でもあります。松任谷由実さんの同名主題歌も有名ですね。こちらは当初、安田成美さんが中年期以降も1年間通してヒロインを演じる予定でした。

 しかし、報道によると安田さんは「体力的に限界を感じたので、主役を降りたい」という理由で撮影中に降板。急遽1部2部制になり、後半の33歳から64歳までを中田喜子さんが演じました。

 物語の冒頭に安田さん自らが、高齢となったヒロインを老けメイクで演じていたこともあり、この降板劇は数々の憶測を呼び、当時のスポーツ紙やワイドショーを賑わせました。