新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、2020年1月にWHOが「緊急事態」を宣言。それが日本経済にも大きな影響を及ぼしています。
この記事では、三菱総合研究所が2021年11月に公表した『ウィズコロナ下での世界・日本経済の展望』をもとに、「2020~2021年の2年間で日本経済がどのように変化したか」について解説します。
「実質GDP」はどう変わったか?
日本の実質GDP成長率は緊急事態宣言などの影響で2021年7-9月期に大きく落ち込み、2四半期ぶりのマイナス成長となりました。
なお、需要項目別でマイナス成長となった項目は以下の通りです。
・消費 -1.1%
・設備投資 -3.8%
・輸出 -2.1%
・輸入 -2.7%
三菱総合研究所によれば、緊急事態宣言の発令による消費の減少や感染拡大による工業製品等の供給制限、外出関連サービス業の業績悪化、海外経済の悪化などをマイナス成長の要因としています。
とはいえ、2021年の実質GDPは大幅なマイナス成長とはなっていません。コロナワクチン接種者の増加によって2021年後半は外出する人が増加し、経済活動が回復しつつあるからです。
そのことを背景に、三菱総合研究所は「2022年前半には実質GDPがコロナ前の水準まで回復する」との見通しを立てています。
「消費」はどう変わったか?
コロナ禍が日本を襲ったここ2年で消費はどう変わったでしょうか?
2020年4~5月は消費全体が大きく落ち込む
日本で初の緊急事態宣言が出た2020年4~5月は、外出自粛の影響で消費が大きく落ち込みました。
もっとも落ち込みが激しかったのは国内外の旅行ですが、外食や室内娯楽など外出自粛の影響を受けやすい消費が軒並み落ち込んでいます。
その一方で、外出自粛の影響や特別定額給付金などの支給により、コロナ前より貯蓄が増加した家庭も増えています。
2021年後半は消費が拡大したがコロナ前の水準には戻っていない
2021年は国民のワクチン接種によって消費が拡大しましたが、まだコロナ前の水準には戻っていません。特に、外出関連の消費は今も大きく落ち込んだままです。
しかし、三菱総合研究所は「外出自粛の影響で増えた貯蓄の4割弱は消費に回る可能性がある」と述べています。それが実現すれば約15兆円消費が拡大する可能性にも言及しています。
「2022年前半に実質GDPがコロナ前の水準まで回復する」としているのも、それが根拠となっているようです。
「物価」はどう変わったか?
物価は2021年から2022年にかけて上昇傾向にあります。
エネルギー価格の急騰で光熱費が毎月上がっているほか、食料品の値上げも相次いでいます。その影響で、2021年7-9月期の生鮮食品を除く消費者物価指数は6四半期ぶりにマイナスを脱しました。