恋バナ収集ユニット「桃山商事」の代表で、これまで1200人以上の恋愛相談に耳を傾け、そこから見える恋愛とジェンダーの問題についてコラムやラジオで発信してきた清田隆之さん。清田さんの最新作『自慢話でも武勇伝でもない「一般男性」の話から見えた生きづらさと男らしさのこと』から東京大学の学生・有村隼人さん(仮名)のインタビューの3回目をお届けします。
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東京大学、東大安田講堂念願の東大に合格し、「一番やりたかったのが恋愛」と語る有村さん。その理由は高校時代の女性経験にあったといいます(以下、同書よりインタビューを抜粋。4回シリーズの#3)。
高校時代に恋愛未遂で終わった3人の女子
大学生になって一番やりたかったのが恋愛でした。思春期のほとんどを勉強に捧げてきたので、個人的にめちゃくちゃ興味があって。恋愛のことを語るためには高校生のときに思いを寄せた3人の女子の話を避けては通れないんですが、ここでは仮にA子さん、B子さん、C子さんとしますね。
A子さんは同じクラスだった人で、元々「気にはなってるけど仲良しってわけでもない」という間柄でした。ある日の放課後、教室に残って勉強をしていたら、いつの間にか彼女と二人きりになっていたんですね。それでなんとなく雑談が始まって、受験のこととか趣味のこととか話していたら、すごく会話が盛り上がって。
同じアニメが好きだったり、育ってきた家庭環境がちょっと似ていたり。そのまま日が暮れるまで3時間くらいしゃべっていて、距離が一気に縮まった感じがありました。ただ、正直ドキドキしたし、気持ちも急上昇したんですが、一方で「ここで恋愛にのめり込んでしまうと勉強が手につかなくなる」という危惧もあって……。結局はその感情を抑える方向に走ってしまったんですよね。
だからA子さんは自分の中で「好きじゃないということにした人」という位置づけになっています。
恋心を中和するために、B子さんを“利用”した
その恋愛感情を中和するために、ある意味で“利用”してしまったのがB子さんでした。
彼女とは委員会の仲間で、学校行事の準備や打ち合わせを一緒に進める中で心の距離が縮まっていきました。仕事はテキパキしているし、会議でもしっかり自分の意見を主張する人で、すごくカッコいいなと思って惹かれ始めて。
A子さんに対する恋愛感情が先に膨らんでいたことは確かなんですが、B子さんへの思いも少しずつ募っていって、気持ち的な比率は70対30くらいの割合でした。でも、このまま恋愛の比重が高まっていくのはヤバいなって思い、B子さんへの気持ちを盛り上げることで相対的にA子さんに対する思いを下げ、全体的にクールダウンさせる方向に持っていこうと考えました。
それで必死に自己暗示をかけ、結果的に35対35くらいのところで落ち着けることができた。これによって恋愛に気持ちが持っていかれることはなくなり、再び勉強に集中することができました。だからB子さんは「好きということにした人」という位置づけなんです。